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「なぁお前ら、これくぐれるかぁ?」
伊藤大志は手を前に突き出して、その下をくぐるように指示した。俺の手に触れたら負けたからな?ダッシュでくぐれよ?と曽我たちに伝えた。
曽我、山田、慎一郎の順番で伊藤の前を走って通っていきクリア。じゃあ次な?と、伊藤はさっきよりもっと低い位置で手を突き出すと、身体の大きな曽我と山田はここで引っかかってしまった。
一方、慎一郎は難なくすごいスピードで通り抜けた。余裕、余裕〜と曽我と山田の肩をポンと叩き、慎一郎はクルッとまわってポーズした。
「川崎、じゃあこれくぐれるか?」
そういって伊藤は辺りに置いてあった椅子に腰掛け、両足を上げた。その高さは地面から10センチほどであった。
さすがの慎一郎も、屈んたり、しゃがんだりしてもくぐることはできない高さであった。いやいや、川崎でもさすがにそれは無理でしょ。
伊藤ちゃん無理なこというなぁと曽我と山田が話している前で、伊藤は慎一郎にやってみろ、やってみろと手招きをしていた。
「え、俺?仕方ないなぁ。」
こんなの無理だと思いつつ、ノリの良い慎一郎は言われたままに伊藤の足下にしゃがみ込むと、ほふく前進するような形でその間をくぐろうと進んでいた。
慎一郎の背中が足下を通ろうとしていたとき、伊藤は足をおろし慎一郎を踏みつけた。その瞬間。
「いまだ!」
伊藤の合図をきっかけに、曽我は前から両手を、山田は後ろから両足を押さえつけていた。
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