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家庭科の授業が終わり、興奮が落ち着いてきた山下は激しい後悔の念に襲われていた。
はぁ、なんであんなことしてしまったんだろう。もしもバレてたら嫌われちゃうよね。それどころか、気持ち悪いやつとして、もう一生話しかけてくれないかもしれない。どうしよう。
終礼が終わり、周りの生徒は続々と帰り支度をしている中、山下は机に頬杖をつき廊下を見ていた。ため息をついていると、直前に配られたプリントが地面に落ちたので、拾おうと手を伸ばすと目の前に中間がいた。
落ちてたぜ、と言って山下のプリントを拾って机におき、じゃあなと手を振って去っていった。
「あ、ありがとう。部活頑張ってね」
おう、と答えて立ち去っていく背中にそう声をかけた。
もしかして、僕が触ったってバレてないのかな?今も笑いかけてくれたし、バレてないよね?よかった、本当によかった。もうあんなこと絶対しないからね、ごめんね中間くん。
山下は心のなかで何度も謝りながら、中間が出ていった教室の扉を見続けていた。
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