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中間にこっそりと懺悔した日から、しばらく経ったある日の放課後、山下は自分のクラスとは別の教室に向かっていた。数学のテストが赤点だったため、補習を受けなければならず、その足取りは重かった。
なんで自分は勉強がこんなにできないんだろうと、自分の頭の悪さを呪いながら、トボトボと歩いていた。
途中、渡り廊下からはきゃっきゃっとはしゃぐような声が聞こえてきた。山下は、うるさいなと思いながら声の方を見ると、隣のクラスの男子がだべっていた。手すりに腰掛けているのは吉川。隣で恥ずかしそうにしているのは玉井。
「―――で、お前の好きなやついんの?誰よ?」
吉川はスマホをいじりながら、核心に迫る質問をしていた。好きなやつっていうワードを聞いた山下は興味津々で聞き耳を立て、少し離れた角から様子を見ていた。
「言えるわけ無いだろー。だってお前誰かに喋るでしょ?」
「絶対言わないからいってみな。なんなら協力してやるから!」
玉井は本当か?でも絶対誰にも言うなよ?ともう一度念を押し、吉川に伝えた。
「3組の白浜亜矢。めちゃくちゃ可愛くない?あいつ。」
白浜亜矢と聞いた吉川は驚いて、スマホをポケットに入れ、玉井の顔を見た。
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