中間雄輔

9/20

26人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
 中間にこっそりと懺悔した日から、しばらく経ったある日の放課後、山下は自分のクラスとは別の教室に向かっていた。数学のテストが赤点だったため、補習を受けなければならず、その足取りは重かった。  なんで自分は勉強がこんなにできないんだろうと、自分の頭の悪さを呪いながら、トボトボと歩いていた。  途中、渡り廊下からはきゃっきゃっとはしゃぐような声が聞こえてきた。山下は、うるさいなと思いながら声の方を見ると、隣のクラスの男子がだべっていた。手すりに腰掛けているのは吉川。隣で恥ずかしそうにしているのは玉井。  「―――で、お前の好きなやついんの?誰よ?」  吉川はスマホをいじりながら、核心に迫る質問をしていた。好きなやつっていうワードを聞いた山下は興味津々で聞き耳を立て、少し離れた角から様子を見ていた。  「言えるわけ無いだろー。だってお前誰かに喋るでしょ?」  「絶対言わないからいってみな。なんなら協力してやるから!」  玉井は本当か?でも絶対誰にも言うなよ?ともう一度念を押し、吉川に伝えた。  「3組の白浜亜矢。めちゃくちゃ可愛くない?あいつ。」  白浜亜矢と聞いた吉川は驚いて、スマホをポケットに入れ、玉井の顔を見た。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加