中間雄輔

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 未だ、床の上で額に手を乗せて脱力している中間を一瞥し、近くで見ている吉川に、行くぞ遅刻するぞと行って歩きだしていた。  吉川は中間に大丈夫か?先行ってるぞと声をかけ、玉井を追いかけていった。  残された中間はしばらくそのまま呼吸を整えていた。その後、よろよろと立ち上がり、歩き出したが、下着の中の違和感が気になり、トイレに立ち寄り処理していた。  一部始終を見ていた山下は、大変なものを見てしまったと大興奮していた。数学の補習の教室でもターゲットだったイケメンの表情を思い出して繰り返し反芻していた。  山下が何気なく窓からグラウンドに目をやると、サッカー部が練習していた。中間の姿を探してみたが、練習試合をしている生徒たちの中にはいなかった。よく見てみると、外周を走っていた。中間は部活に遅刻してしまい1人ペナルティを受けていた。  が、その後、中間はまるでそんなことがなかったかのように、明るく他の生徒とボールを蹴っていた。玉井や吉川にさっきのことでからかわれた時はちょっと照れていたが、普段通り過ごしていた。
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