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「実はね、僕、また転校することになったんだ。今まで仲良くしてくれてありがとうね。あと少しの間だけど、よろしくね」
ええっ!?と驚く中間。
「え、マジか?こっちにきたばっかじゃねーか。マジか……」
中間は隣の席の椅子に座り、なんとも言えない表情で山下を見ていた。しばらく2人の間には沈黙が流れていた。
あ、そうだと手を叩き沈黙を破ったのは山下。
「そういえばさ、うちに遊びに来てくれるって言ってたでしょ?あれ何となく流れちゃってたよね。明日サッカー休みでしょ?もし暇ならこない?」
おう、そうだったな、いくよ!ありがとなっと笑った中間の顔もやっぱりかっこよかった。もうこの笑顔に会えなくなると思うと、山下は胸が締め付けられそうになっていた。
俺さ、何にもできないけどさ、その…頑張れよ、と山下の肩を叩いて言った。
部活の時間が迫っていた中間はわりぃ、じゃなと言って走って教室から出ていった。
中間を見送ったあと、山下はぼんやりと空(くう)を見ていた。悲しみはとまらず、時折、涙がじんわりと出てきていた。
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