グエン・ルウ・タン・タム

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グエン・ルウ・タン・タム

 その生徒は、入学式から異彩を放っていた。体格は小柄で、大きな瞳と存在感のある鼻、肌は浅黒かった為、制服を着て整列していても、凄く目立っていた。  「おはよう、!元気だったか?」  「おう!タムも元気そうだな」  タムと呼ばれたその生徒は、見た目は日本人ぽくないのに、違和感のない日本語を話している。       同じクラスになった立山智人(のりと)は恐る恐る話しかけた。  「なぁ、お前さ外国人だよな?なんでそんなに日本語が喋れるの?」  タムは、ん?と智人の方を向いて制服の襟を直してあげた。  「お前さぁ、ちゃんと朝、鏡みてこいよ。オレは産まれた時から日本だから、日本語以外はほとんど話せないよ。」    智人はへぇ、そうなのかと頷きながら、座席表を見た、タムは隣だった。     「お、隣の席じゃん!俺は立山智人。なぁ、お前タムって呼ばれてたよな?俺もそう呼んでもいいか?」  「よろしく智人。オレはグエン・タム。いいよ、タムって呼んでくれて」  タムは机に筆箱と連絡帳を広げながら言った。それを見て慌てて智人も準備するが、どうやら連絡帳を忘れた様子だった。  あわわわどうしようと焦っていたら、タムが、何かあったらオレがメモしとくから大丈夫だよと、優しく言った。
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