グエン・ルウ・タン・タム

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 智人は今まで日本人しか会ったことがなかった為、タムに興味津々であった。聞くと、タムの国籍はベトナムだった。親たちは母国語を話す時もあるから、少しだけベトナム語が話せるとのこと。  タムは、智人が最初から質問攻めだったのには驚いたが、席も近く色々話すことで仲良くなっていった。  智人はルーズで、教科書や宿題などよく忘れていた。その度にタムに見せてもらっていた。一方、タムは堅実で温和な性格だった。そんなタムの周りにはいつも誰かしらいた。  中でも、ヤンと呼ばれる長身の男子は小学校からの幼馴染であった。ヤンと言うのはあだ名で、本名は塩沢進。何となくヤンぽい顔だからヤンなのだそうだ。  智人とタムとヤンはよくつるんでおり、仲良しであった。  ある5時間目が終わった休み時間のこと。その日はヤンの出席番号と同じ日だった為、次の授業で必ず当てられるのだか、全く課題に手をつけていなかった。  「タム、俺今日当てられる!やばい!ちょっとこれ教えてくれー」  タムがいいよといったので、ヤンはタムの席まで教科書を持っていき、課題を丸写しして危機を逃れた。  このようにタムは頭もとても良かった。  
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