大下和茂(高校生時)

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 僕はあんまり群れるのが好きではないのだけど、ずっと1人でいるのもちょっと…っていう、一見するとわかりにくい性格だったんだけど、大下くんって僕が淋しいときに必ず声をかけてくれていた。  さて、授業が終わって放課後、大下くんとの約束を果たすために図書室に向かっている途中で、同じクラスの男子たちが声をかけてきた。  「おおー奈生ちゃんもう帰るん?」  「可愛い奈生ちゃん。触っちゃお。」  吉田くんと濱崎くんだった。彼らはたぶんちょっとからかっているつもりだったんだろうけど、僕は物凄く怖くて、制服を触られたり、顔を覗き込まれたりするだけで震えていた。  ひとしきりからかいに耐えていたら、飽きたのか吉田くん達は歩いて行っていた。  「…でも、奈生ちゃんってマジで可愛いな。触ると柔らかいし、ずっと触れたくなるよな。」  「それやべー笑 でも、俺も気持ちわかるわ〜」  遠くで僕のこと言ってるみたいだった。何を言われてるんだろう…怖いな…。    僕は、ちょっと深呼吸をして息を整えていた。
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