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図書室につくと、室内には誰もいなかった。辺りはシーンと静まり返っていた。僕は本を読みながら、大下くんを待つことにした。
遠くで部活をしている生徒たちの声が聞こえていた。これはたぶん野球部?いやサッカー部?かな??
静かな場所は好きだし、待つのも平気だったけど、早く大下くんに会いたくて会いたくて震えていた。でも、30分経っても大下くんは姿を見せなかった。
大丈夫かなぁ大下くん。なんかあったのかなぁ?
40分経つ頃には、会いたさからくる動悸と、もしかして忘れてたりするのかなぁという不安も大きくなっていた。最早、読んでいる本の内容は頭に入ってこなかった。
空の色が変わってきた頃、僕は机にうつ伏せになっていた。
僕なんて、頭悪いし顔も性格も悪いし、運動だってだめだし、もしかして、嫌われちゃったのかなぁ…
イジイジ悩んですぐ泣くし、こんな奴誰だって嫌だよね…
今まで、僕と話してくれた大下くんの貴重な時間を貰えただけでも幸せに思わないといけないよね…
でも、悲しいなぁ…
ぐすん、ぐすんと鼻をすすっていると、ごめん!奈生ちゃん!と聞き慣れた、心に刺さるハスキーな声が聞こえてきた。
「ちょっと待って。ごめん、ちょっと今ちょっとこっちこないで」
僕は大下くんにそう伝えると、席を立って後ろを向いた。泣いていることを悟られないように、ハンカチで涙を拭いたが、大下くんのどうしたの?ほんとにごめんね、大丈夫?との優しい声が追い打ちとなり、涙が止まらなかった。
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