大下和茂(高校生時)

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 その日の放課後、僕はプールの方に向かっていた。何か言われたりしないかなって不安もあったけど、何より大下くんが泳いでる姿を見たかったのが大きかった。  さてプールの前に着いたけど、ここからどうしたらいいのか…。  まさかお邪魔します♪なんて大きい顔で入れるわけない。どうしよう…。  入口でソワソワしていると、おっ藤宮くんやんか、どうしたの?と声をかけられた。声の方を向くと、水原くんが立っていた。  「藤宮くんが、こんなとこにおるなんて珍しいね?何かあったん?あ、誰かに会いに来たん?」  「あ、いやその…… ちょっと見学を…」  水原くんは、ま、入りーやといって更衣室まで案内してくれた。うちの部に入るんか?って聞かれたけど、やんわりと否定した。  更衣室の中は、蒸し暑くて色んな匂いがした。僕は、水原くんにお礼を言って、端っこの椅子に座らせてもらった。部屋では、何人か生徒たちが喋りながら着替えていた。吉田くん達も着替えている途中だった。  僕はなんとなく恥ずかしくて、下を向いていたると、大きな声が聞こえてきた。  「おお、奈生ちゃん!来てくれたんか!」  濱崎くんが僕を見つけてくれたのはありがたかったけど、その大きな声だったから、部屋中のみんなが僕を見て、同じクラスの男子たちが集まってきた。    「ちょ、ちょっと見学に……」  僕は苦笑いしながら言った。
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