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東森栄二
「おう。うん。うんうん。う…ん。」
東森栄二はクラスメイトである太田幸三と電話で話している。幸三が言うには、学期末の数学のテストのできが良かったとのこと。
お互いに問題を確認しあい、できただのできなかっただの言い合っているところであった。
「あ、俺… そこは… う…できなかったよ」
栄二は受話器を耳に当て、着ているトレーナーの裾を整えしながら返事をしていた。外は雪が降っており、部屋の中は寒かったが体半分こたつに入っていた為なのか、暑い様子でほんのりと汗をかいていた。
うん、うんと幸三の話を聞き、適当な相槌を打っているのだが、頭には全く入ってこなかった。
「うん。ふ… うぇ… うん。 はぁ… うん。はぁ…」
栄二の返事は消えそうなくらい小さくなっていっており、それに差し替わって息が漏れるようになっていた。
大丈夫か?と何回か幸三も聞いていたのだが、そんなふうに聞かれる度に栄二はだっ大丈夫!っと大きな声で答えていた。
ちゅっ
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