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一緒に
ある時、森の中で一匹のへびが、美しいメロディを歌いながらくるくると回っていた。そのへびの名前はハラハラで、彼はとても歌が上手だった。
そして、森の中を彷徨い歩いていた小さなウサギのコリーが、ハラハラの歌声を聞いて立ち止まった。コリーはへびの周りを興味深そうに見つめながら、ふと足を止めた。
コリーは、ハラハラに食べられてしまうかもしれない、そう思ったがあまりに声の美しさに、つい話しかけてしまった。
「ハラハラ、素敵な歌声だわ。なぜそんなにくるくる周りながら歌うの?」
「ありがとう、コニー。それはね、私の歌声を森中に響かせるにはくるくる回る必要があるんだよ。」
「本当なの?」
「コニー。一緒に歌えば、もっと響いていくよ」
コニーとハラハラは一緒に歌い始めた。その美しい歌声が森中に響き渡り、他の動物たちも何だろうと次第に集まってきた。
ハラハラがくるくると回りながら歌い、うさぎのコニーが傍らでハラハラを仲間のように一緒にいるという、不思議な組み合わせに驚くものもいた。
だが、集まったほとんどの動物たちは、ハラハラのくるくる回りながら歌う姿に釣られたのか、自然と歌声に合わせて踊ったり、一瞬に歌いだしたりと祭のようなひとときを過ごしたのだった。
やがて、コニーとハラハラは、一緒にいると居心地の良さを感じあうようになっていた。
へびのハラハラは、うさぎのコニーを食べることなく、まるでパートナーのようコニーを迎え入れていたし、うさぎのコニーも、ハラハラをへびと思わず、一緒に歌う仲間と感じるようになっていた。
それからというもの、森の中ではハラハラとコニーの歌声がよく聞かれるようになっていた。
歌声が響くとき、森の中は清らかな空気に包まれ、動物たちも、歌いだしたり、踊りだすのだった。
了
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