七章 狂言回し

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七章 狂言回し

「おはよう、文香さん」 紫月さんの目蓋は、硬く閉じられている。 ・・・ように見える。 「おはようございます」 朝食の席、梨花さんは震えている。 「・・・藤野さん、具合が悪いのかい?」 紫月さんが問う。 「いえ、平気です」 「無理はしないように」 「はい」 あの様子じゃ食事の味はしていないだろう。朝食後は勉強をし、昼食を摂り、趣味の執筆を少しだけして、昼過ぎ。私は散歩を装って屋敷の裏の納屋に来ていた。 「あっ・・・」 手紙が置いてある。私はその場で読むか、自室に持ち帰って読むか少し迷い、『見つかったらまずい』という判断から、再び散歩を装って自室に持ち帰った。 見つかったら、まずい? 誰に? そんなこと考えなくてもわかる。 私は手紙を読み始める。 『文香さんへ。  夜のことはごめんなさい。  私、貴方に紫月様を盗られたくなかったんです。  紫月様は二重人格です。  昼は理知的で穏やかな旦那様。  夜は享楽的で凶暴な紫月様になるんです。  紫月様は毎夜、私の部屋に来て、私を抱きます。  だからあの夜も私を抱くと思った。  貴方にその光景を見せつけて、  貴方に紫月様から離れてほしかったんです。  でも、紫月様は、貴方を選んだ。  私はそう長くは生きられないでしょう。  紫月様は長年町を騒がせている、  『切り裂き魔』と繋がりがあるようです。  紫月様自身がそう仰っていましたから。  それと、紫月様の目についてです。  旦那様は盲目ですが、紫月様は目が見えています。  以前、このお屋敷で働いていた、  幸恵さんのことを覚えていますか?  幸恵さんが何故、冷めた食事を出したり、  物を動かしたり、嫌味を言ったりしたのか。  全ては紫月様の攻撃性を自らに向かせるためです。  そうやって幸恵さんは私を守ってくれていたのです。  そして、もう一つ目的が。  食事を満足に取らせず肉体的苦痛を与え、  嫌がらせで精神的苦痛を与えて心身共に弱らせ、  旦那様が物にぶつかって転倒することが目的でした。  旦那様が、紫月様が、運よく事故死してくれればと、  幸恵さんが殺される数日前に私に教えてくれました。  お願いがあります。  私が逃げるまでの間、私を守ってください。  この島は電波が悪く、電話がなかなか通じません。  唯一の働き手である私が逃げ出せば、  旦那様はお仕事も生活もとても困るでしょう。  既に旦那様に許可を取り、一週間以内に  新しいメイドを雇うことが決まっています。  私がメイドに仕事を教える間、私を守ってください。  我儘なお願いをしてごめんなさい。  私は、紫月様を愛しています。だから文香さん、  この手紙を読んだ今日から、夜は旦那様の部屋で寝るか、  私の部屋に『遊びに来た』という名目で寝に来てください。  この手紙は燃やして処分してください。  消し炭にも十分注意してください。                      藤野梨花。』 私は何度も何度も手紙を読み返した。 紫月さんが、二重人格。 多重人格障害、解離性同一障害。 そして恐らく、解離性健忘。感情や記憶を切り離して、それを思い出させなくすることで、精神的な苦痛を回避しようとする障害。切り離した感情や記憶が成長して、別の人格として表に現れることもある。 紫月さんの目が見えなくなったのは、妻と娘が死んでしまったのがきっかけ。紫月さんは二人の死を受け入れられず、一族からの圧にも耐えきれず、目を閉ざして、こころを閉ざして、苦痛から逃げようとした。その結果が、新たな人格。その新たな人格に責任を押し付けてしまうほどに紫月さんは苦痛を感じていたのだ。 『こんな夜中に出掛けたら、切り裂きジャックに襲われるよ』 あれは警告だったのだ。 「・・・は、フフッ」 私は優越感を感じていた。 「フフッ、ハハッ、あはっ、あはははっ」 梨花さんの愛しの紫月さんは、私を選んだ。 ならば私も、 紫月さんを選びたい。 「成程ねえ・・・」 紫月さんに『ダイヴ』してもなにも情報が得られなかった謎が解けた。別の人格、別の人間に『ダイヴ』してもそりゃあ欲しい情報は得られない。 私は準備をして紫月さんの部屋に向かった。 こんこんこん。ノック三回。 紫月さんはすぐにドアを開けてくれた。 「文香さん?」 「当たり。中に入れてください」 「どうぞ」 紫月さんは嬉しそうに笑う。ちょっと『ダイヴ』してみる。 (ああ、今日も可愛い文香さん・・・。文香さんを嫁にしたい・・・。嫁が駄目なら娘にしたい・・・) イカれてやがる。 「紫月さん、少しお誘いを」 「おや、なんのお誘いかな?」 紫月さんがソファーに座る。私はその横にぴったりと身体をくっつける。 「・・・な、なにかな?」 わかりやすい。とても緊張している。 「あっ!? ふ、文香さん・・・!!」 私は紫月さんの手を取り、胸を揉ませた。 「今ね、可愛いの着けてるんです」 「そっ、そんなこと、言われても・・・」 「色は黒。蝶がデザインされていて、レースがふんだんに使われた、ちょっとお高いヤツです」 「そ、そうですか、ハハ・・・」 「紫月さん、まるで硝子細工に触れるように私を大切にしてくれるけど、私は硝子細工じゃありません。丈夫だから乱暴にしてくれたって構わないんですよ?」 「じっ、自分をないがしろにするんじゃない!」 「大学卒業までお預けなんて言うからじゃないですか。医大は六年もあるんですよ? 順調に行ってもあと四年は私に構ってくれないってことですよ」 「そな、あの、う・・・」 「襲ってくれないなら襲いますけど、いいですよね」 「よ、よくない・・・です・・・」 するり、とスラックスの上から撫で上げる。紫月さんは私から顔を逸らし、荒い息を吐き始めた。『ダイヴ』して様子を窺う。 (もう、抗えない・・・) 私はにやりと笑った。初めて触れる男性器は、硬くて大きい。身長に比例してある程度大きくなるのだろうか。いや関係ないか。どうでもいい考えはすぐに消えていく。紫月さんの焦れた甘い声に、私は撫でるのに夢中になった。 「紫月さん、私、初めてですから、なにかあったらちゃんと言ってくださいね」 紫月さんの手を胸から離すと、紫月さんは両手で口をおさえ、真っ赤な顔で何度も頷いた。私はスラックスの前を手間取りながら寛げる。恐らくブランド物であろう下着を見て、やっぱり金持ちは違うな、なんて呑気に考えた。布一枚近くなる。手の平に伝わる熱さ、皮膚と粘膜の感覚。下着をずらして脱がせる。前の父親は全裸で家の中をうろうろしていたので、見るのは初めてではない。硬くて、大きくて、槍のようにそそり立っていて、グロテスクでエロティックだ。 そっと、握る。 「んっ・・・!」 紫月さんの息は興奮した獣のようになっていた。 「ふうっ、ん・・・」 恥を忍んでえっちな本を買って予習しておいてよかった。 (気持ち良い・・・。こんなことしてもらえるなんて・・・。憧れの文香さんに・・・) 『憧れの文香さん』だなんて、おかしな言い方を。私は嬉しくなってしまう。顔を近付ける。独特の匂い。臭いとは感じなかった。紫月さんのモノだからだろう。愛が無ければできない口付け。紫月さんは感電したかのようにビクビクと震えた。それでも声を出さないように、懸命に両手で口元をおさえている。 「紫月さん、可愛い声、聞かせてください」 舌でねっとりと舐め上げ、先端を咥え、喉まで咥えた。 変な味。というかめっちゃ不味いな。 じゅっぽじゅっぽと下品で卑猥な音を鳴らす。 「ふみ、か、さ、やめっ、あっ・・・!」 いきなり口の中に出されて、吐き出しそうになってしまったのをなんとか堪える。ポケットティッシュを取り出して慌ててそこに吐き出した。 「の、飲むな!! 絶対飲むなよ!!」 「ティッシュに、はあ、吐きましたよ」 「も、もう部屋から出なさい・・・」 「紫月さ、」 「出なさいっ!!」 紫月さんは服を着ながらよろよろと立ち上がり、浴室に行ってしまった。 「・・・怒られちゃったな」 私は寝室に続くドアを開けてみた。鍵は掛かっていなかった。不用心だ。掛かっていたら今ので満足したのに。寝室に入り、枕の下に梨花さんからの手紙を忍ばせ、紫月さんの部屋を出た。 夕食時の紫月さんは、梨花さんも気付くような違和感があった。顔が僅かに赤く、食事を摂るのに時間がかかっている。 「旦那様」 「ん?」 「あの、具合が悪いのですか?」 「あ、いや・・・」 歯切れ悪くそう言って、食事を続ける。私はちょっと意地悪で『ダイヴ』してみた。 (き、気まずい・・・。清楚で可憐な文香さんがあんなことを・・・。れ、冷静に・・・。あとで謝って、それから・・・) 紫月さんは本当にイカれてる。私のことを清楚で可憐だと思っているのだから。『清楚』という言葉と『可憐』という言葉を辞書で引いて目の前で朗読してあげた方がいいかもしれない。 「ごちそうさまです。勉強があるので部屋に戻りますね」 食器はそのまま、と言われているので、私はなにもせず自室に戻った。今日の夜はキッチンに行かない。焦れたあの人は私に会いに来るはずだ。勉強をして過ごし、風呂に入って寝る準備を整え、勝負下着はそのまま、睡眠薬は飲まずにベッドに転がる。初めて自らした情事に興奮したのもあって、目蓋を閉じていても神経が研ぎ澄まされている。あのあと歯磨きをしたとはいえよく食事なんかできたな、私。 かちり。 小さな音がした。紫月さんが、鍵をしっかりと掛けたはずの私の部屋に入ってきた。目蓋は開かれていて、ゆったりとした上品な笑みを浮かべている。ベッドから起き上がろうとした私の肩を押し、覆い被さる。紫月さんの長い髪がカーテンのように辺りを遮った。 「素敵な手紙をありがとう」 紫月さんは舌で唇を舐めて湿らせる。 「君にはなにも知られたくなかった。さて、ご褒美が欲しいのかな? それとも、従順さを示して命乞いをしたいのかな?」 私は首を横に振った。 「紫月さんが私を選んでくれたから、私も紫月さんを選んだだけです」 睨み付けるような、それでいて探るような視線で、紫月さんが私を見る。怖いと感じているのも事実だが、それ以上に、いっそ冷たいほどの美貌から放たれる濃密な芳香に私は酔いしれていた。 「丈夫だから乱暴にしてくれたって構わない、と言ったね」 「はい」 「あまり俺を怒らせないようにね」 長い指が私の寝巻きの、胸元のボタンに伸びる。 「紫月さん、一つだけ聞かせてください」 「いいよ。ただし、一つだけね」 「・・・切り裂きジャックは、誰なんですか?」 私は『ダイヴ』する。 (・・・フフ) 紫月さんは静かに笑うだけで、答えは得られなかった。問われたこころは必ず揺らいで、必ずヒントが得られるのに、この人のこころだけは読めなかった。危険な状況なのに、もっと深くへ、時間をかけて『ダイヴ』する。 (本当に可愛いな、文香さんは。大学なんか辞めさせてずっとここに閉じ込めようか。足の筋を切って永遠に俺だけのものにしてもいい。いや、それよりも、) 「文香さん、具合が悪いのかい?」 「え・・・?」 『ダイヴ』の影響で吐き気と頭痛がする。 「君とは無理やりしたくない。今日はもうおやすみ」 外したボタンを留め直すと、紫月さんは私の額にキスを落として優しく微笑む。そして小さな物音で静かに移動し、ぱたん、とドアを閉め、外側から施錠した。かちり、鍵の掛かった音。様々な要因で私の身体が発熱する。 『私はそう長くは生きられないでしょう。  紫月様は長年町を騒がせている、  『切り裂き魔』と繋がりがあるようです。  紫月様自身がそう仰っていましたから。』 「切り裂きジャックは、誰なんや・・・?」 二十年前から、現場に指紋が残され、警察犬が匂いに反応したこともあるのに、未だ掴まらない猟奇殺人犯。紫月さんの姪の誠さんを、義母の幸恵さんを同じ手口で殺した謎の人物。紫月さんはその『切り裂き魔』と繋がりがあると本人が言っていた。梨花さんの言葉を全て信じるのなら、の話だが。 「寝られへん、な・・・」 夜になると豹変する紫月さん。梨花さんは抱いて、幸恵さんには暴力を振るっていた。恐らく実の父である執事にも、なにかしら凶暴性をぶつけていたのであろう。それ以前にも、きっと、誰かと、なにかを。 知りたい。 危険なのはわかっている。 どうやって探る? ふと思い浮かんだのは、未だ大学で交流がある原田優と、その恋人の原田透。駄目もとで彼らに依頼できないだろうか。なんにせよここから帰ってからの話だ。無事に。 平穏な、こころ痛い日々が過ぎていく。 新しいメイドの真樹さんはせっせと働いている。 「紫月さん、春になったとはいえ今日は雨で冷えますから、暖かくして過ごしてくださいね」 「文香さんも、足元に気を付けて」 私は紫月さんの手を両手で包み、爪にキスをする。それを見ていた真樹さんが『わ!』と小さな声で言った。 「梨花さん、真樹さん、ありがとうございました」 「またお越しくださいませ、水無瀬様」 そう言った梨花さんの表情は、暗かった。 私は実家に帰り、無事に二年生になる。 医学部としてはここからが正念場だ。 「文香さん、お待たせしました」 「おー、優君。今日も洒落たモン食うてんなあ」 私は優君と毎日学食を食べ、雑談を交わすのが初めて会った日からの習わしとなっている。 「文香さんは最近カツ丼にハマってるんですね」 「ここのは安くて美味い」 「僕はもう四十が目の前ですから、脂っこいものは一人前すら食べられなくなりましたよ。透さんは平気でペロリなんですけどね」 「筋肉維持するためには食べへんとあかんからな。私もちょっとだけ鍛えてるからかもしれんわ」 「あ、そういえばまた女の子から文香さん宛てに手紙を預かったんですけど・・・」 「果たし状か?」 「ラブレターでしょう」 「捨てといて」 「そういうわけにはいきません。僕はちゃんと渡す。そのあとはどうしようと文香さんの勝手です」 「はあ・・・。はいはい」 私はラブレターを受け取った。鳥肌が立つような手触りのピンクの封筒。食事の時には嗅ぎたくない花のような匂い。適当に破いて便箋を取り出す。二枚。今まで貰った、いや送りつけられたものと大差ない内容。便箋を畳み直して封筒に入れ、送り主の名前が見えないように裏返してテーブルの隅に置いた。 「なんで『恋人居る』って言うてる人間に恋文送ってくるんかね」 「文香さんは魅力的な人ですから」 「そういう先生は手紙貰ってへんよな」 「年齢が年齢ですし、僕も恋人が居ると公言していますからね。透さん、何度か大学に迎えに来てくれたこともあるので、金髪オールバックの筋骨隆々のデカい野郎を見て諦めがつく人も居るでしょう」 「自分の恋人にえらい言い方やな」 「自分の恋人だからえらい言い方するんですよ」 「恋人、かあ・・・」 「夏には、また?」 「あの、そのことでちょっと話があってな。夕方からちょっと会われへんかな」 「いいですよ。カフェかどこかで待ち合わせますか?」 「そうやね。じゃあ、場所は・・・、」 お洒落なカフェを待ち合わせ場所に指定する。 「わかりました。待っていますね」 「ここのスペシャルチョコバナナサンデー、めっちゃ美味いで。奢るからそれ食べて待っててもええよ」 「胸焼けしますって・・・」 そういうことになった。カフェで落ち合ったあと、私は紫月さんのことを、名前や地名は伏せ、筆記も交えて説明した。 「・・・平成の切り裂きジャック、ですか」 優君がそう言い、考え込む。 「無理にとは言わん。なんなら今日、この話を聞いてくれただけでも十分や」 「いいえ。調べさせてください。ノンフィクション伝奇ホラー作家の実力をお見せしますよ」 「ありがとうござ、え、ノンフィクション?」 優君は美しい顔でにこりと微笑んだ。 「人食い鯉を喰らい、奇病が蔓延する狂気の田舎町を舞台にした『母性』、空から降ってきた謎の生命体の肉を喰らって寄生虫に感染し、不老不死の肉体を得た女の一生を描いた『哀歌』、大企業の闇と死者の復活が絡み合う中で、親子の復讐が繰り広げられる『海星』。全て、僕の体験談です。まあ、脚色はしているのでノンフィクションと胸を張って言えるわけではありませんが」 「はあー、実体験、ね・・・」 「信じるんですか?」 「悪いか?」 「フフッ、本当に面白い人ですね、文香さんは」 「しかし優君、ネーミングセンスがイマイチやな」 「・・・それは担当の人にもちょっと言われました。文香さんなら、どんな題名を付けます?」 「『母性』は『羊の水』、『哀歌』は『造花の蜜』、『海星』は『ピジョンブラッド』かなあ」 「その才能ください」 「別にあげても構わんけど」 「新作のタイトルは文香さんに付けてもらいましょうかね」 「は、このことも本に?」 「無償で手伝うと思ったんですか?」 「上手に脚色してくださいよ、左白憂先生」 「お任せください。しかし・・・」 「ん?」 「スペシャルチョコバナナサンデー、普通二つも平らげますか?」 「普通の定義って難しいなあ。身体もそうやけど脳も毎日鍛えてるようなモンやからこれくらいは・・・」 「なんだか『見聞を広める』という理由で医学を学びに来た自分が恥ずかしくなってきますよ。文香さん達は卒業後も何年もかけて医者になるんですよね」 「そや。言うたら悪いけど先生はお気楽やわ。まあやからこそ優君に頼むんやけど」 「探偵とその助手は僕達原田夫妻に任せて、貴方は狂言回しを」 「狂言回し」 私は繰り返す。 「公に行動するにしろしないにしろ、貴方が鼻薬を嗅がせてもらわないといけません」 「ああ、そのことやねんけど、一緒に寝泊まりしてもらわれへんかな?」 「貴方の恋人の家にですか?」 「そう。私が不安やねん。見えへんところでなにをされるかわからんって意味で・・・」 「わかりました。でも、文香さん。この話は透さんが了承してくれたらです。それから、必ず成果が上がるとは限らない。成功報酬は先程お話した通り」 「よろしくお願いします」 私は頭を下げた。 「そろそろ出ましょう」 「そうですね」 その日はそれで別れた。後日、透さんが了承したと優君から返事があり、紫月さんに何度か手紙を送り、夏季休暇に九条家に三人で行くことが決まった。勉強で文字通り忙殺される日々が過ぎ、八月。私達は九条家への船を出す港に向かった。
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