安心感と温もり

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「お、美味そうな料理が並んでるな」  夜、啓介さんが帰宅する時間に合わせて料理をテーブルに並べて置いた事もあって、数々の料理を前にした啓介さんは『美味そう』と嬉しそうに言葉を零していた。 「いただきます」  そして、四人で食卓に着いて食べ始めた。 「やっぱり美味いな、雫の唐揚げは」 「あら、どういう風の吹き回し? いつもは褒めたりしないくせに」 「んな事ねぇだろ? 美味い時は美味いって言ってるっての」 「そうだったかしら? 滅多に無い事だから記憶に無いわ」 「あーそーかよ。ったく、相変わらず可愛げのねぇ女だな、お前は」 「啓介相手に可愛さなんて必要ないでしょ」  相変わらずというべきなのか、啓介さんと雫さんは喧嘩とまではいかないもののすぐに言い合いが始まってしまい、その度に私と由季くんは顔を見合わせて苦笑い。 「ん、この肉じゃがは雫の味付けじゃねぇな?」 「あ、それは私です……お口に、合わなかったでしょうか?」 「いや、美味いよ。雫も上手いけど、璃々子さんもなかなか上手いよ」 「そんな事無いですけど、褒めて貰えて嬉しいです」 「本当に美味しいよ、璃々子さんの料理」 「ふふ、由季くんも、ありがとう」  料理を褒めてもらったり、笑い合いながらご飯を食べるなんてすごく新鮮で、自然と笑みが溢れていく。 (良いな、こういうの)  貴哉と居たら、きっと知る事の無かった食卓風景。  貴哉と離婚さえすれば、もっともっと色々な世界を見られるのかと思うと、一分一秒でも早く離婚したくなっていく。  楽しい夕食を終えて由季くんと啓介さんが片付けをしてくれているさなか、私は雫さんと離婚へ向けての準備を始めていた。
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