安心感と温もり

16/17
前へ
/55ページ
次へ
「ごめんね、もう寝るところだった?」 「ううん、まだ」 「何見てるの?」 「雫さんに貰った、DV被害者の相談や支援内容が纏めてある資料」 「ああ」  話しながら由季くんは私の横に腰を下ろす。  由季くんならシェルターについて詳しく知っているかと思い、ひとまず話を聞いてみようと問い掛けた。 「由季くん、このシェルターっていうの、私は入れないのかな?」 「シェルター? ああ、保護施設ね。うーん、まあ璃々子さんの現状なら、恐らく断られる事は無いと思うよ」 「そうなの? それなら、私はこういう施設にお世話になった方がいいと思うんだけど……ほら、私のせいで啓介さんや雫さんが暫く一緒に生活するでしょ? 何だか申し訳無くて……」 「大丈夫だよ、雫さんも啓介さんも別居はしてるけど、何だかんだ言って本当は一緒に居たいんだ。けど、お互い意地っ張りなところがあるから解消出来てないだけ。寧ろ、傍に居られる理由があった方がいいんだよ」 「そうなの?」 「うん。それとさ……実を言うと、俺たちは璃々子さんを保護施設にっていうのも一つの案として考えたんだよ。だけど、シェルターに入ったとしてもあくまでも一時的なものだし、場所によっては制限も厳しい。何よりも俺を頼ってくれた璃々子さんを出来る事なら傍で支えたいって思ったから、シェルターを勧めてくれた啓介さんや雫さんに協力を頼んで……俺らで保護して支援しようって話で纏まったんだ」 「そう、だったんだ」  由季くんのその話は初めて聞くもので、色々と考えてくれていた事を改めて知り、胸が熱くなった。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

795人が本棚に入れています
本棚に追加