離婚をしたがらない理由

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「悪いね、普段なかなか整理出来てないから量が多くて」 「いえ、むしろこれくらいの方がやり甲斐があります」 「はは、そう言ってもらえると助かるよ」  私が仕事を始めてから少しして、由季くんは啓介さんに頼まれた用事をこなす為出掛けてしまったので、事務所内には啓介さんと二人きり。  啓介さんは啓介さんで机に着いてノートパソコンを弄りながらも時折私を気に掛けて声を掛けてくれる。 「あの、普段はお二人とも外へ出る事もあるんですよね?」 「まあ、何か用事があったり、依頼を分担したりすれば、そういう事はあるな」 「そうなると、その間は私が一人で事務所に残る形になりますけど……その際はどうすればいいんでしょうか?」  今みたいにどちらかが居てくれれば良いけれど二人とも外へ出てしまった場合、私に出来る事があるのか分からず質問をしてみる。 「万が一二人とも出掛ける事がある場合には、事務所は閉めて行くから璃々子さんが一人で接客する事は無い。仕事内容は予め伝えていくからそれをこなしてくれれば構わないよ。ただ、電話応対だけは覚えて貰えると助かるから、後で分かりやすいマニュアル作っておくよ」 「はい、ありがとうございます」 「それから、俺が外へ出て事務所内で由季と二人きりになるとしても、この中は防犯の為に常にカメラが作動しているから、何かを疑われてもそれを提出して見せれば問題無いだろうから変に構えなくていい。それと、帰りは雫が早く終わればここへ寄って璃々子さんを拾うようになってる。無理な場合は朝同様俺と帰ろう」 「すみません、何だか余計な負担を掛けてしまって」 「謝らなくていいって――と、悪いけどこれから少し電話で先方との打ち合わせがあるから、暫く応接室に篭もるよ。何かあったら声掛けて」 「分かりました」 「もし電話が掛かってきたら、ひとまず名前と用件だけ聞いて後でこちらから掛け直す事を伝えておいて」 「はい」 「それじゃあよろしく頼むよ」  ひと通りの話を終えた啓介さんは打ち合わせがあるからと応接室に篭ってしまったので、私は資料整理を再開しつつ、由季くんが戻るのを待っていた。
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