2章14 試験終了後の偶然

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2章14 試験終了後の偶然

 この日の試験は今までとは違い、全力を注いで頑張った。 試験でSSクラスの人たちに負ければ、私はリオンの誕生パーティーに参加することが出来ない。 婚約解消されるのは仕方がない。魔力暴走を食い止めるための方法もまだ分かってはいない。 けれどもリオンと彼の家族に起こる悲劇だけは何としてでも防がなければならないのだから。 その為には絶対に負けるわけにはいかない。 私は持てる知識を全て駆使して試験に取り組んだ―― ****  全ての試験が終わり、本日の日程が全て終わるとエイダが駆け寄ってきた。 「ユニスッ!」 「どうしたの? エイダ」 「私、あんなに試験頑張ったのに多分半分位しか点が取れないと思うわ」 エイダは悲しそうな表情を浮かべる。 「でも半分は取れそうなら、良く頑張ったじゃない。確かに今回の試験はどれも全て難しかったわね」 「え……? ユニス、それじゃ……」 エイダの顔が青ざめる。 「私のことなら大丈夫よ。手応えはあったから、それなりに点数は取れると思うわ」 それなりに……どころか、かなり自信はあった。恐らく高得点は狙えるだろう。 「そうだったのね? 良かった……ね、もしかしてユニスって本当は頭がいいんじゃないの?」 「違うわ、今回はいつも以上に頑張っただけよ」 必死で試験勉強を頑張っていたエイダに、今までは手を抜いていたとは言えない。 「でも、きっと元々は頭がいいのよ」 「まだ試験結果が出るうち何とも言えないわよ」 「試験結果は1週間後に、50位までが貼り出されるのよね。今回は絶対ユニスの名前が載るに決まっているわね」 「だといいけど」 「ねぇ、それじゃ試験も終わったことだし、今日は一緒に美味しい物食べに行かない? 学園の近くにアイスクリーム屋さんが出来たのよ」 「そうね、行ってみましょうか?」 エイダには前回誘われたのに断ってしまったことがあった。その穴埋めをしなくては。 「本当? それじゃ、早速行きましょう」 笑顔のエイダに頷き、2人で一緒に教室を後にした。 ** 「……それで、そこのアイスクリーム屋さんてね……」 正門に向かって歩いていると、背後から声をかけられた。 「あれ? ユニスじゃない?」 「え?」 振り向くと、ロザリンを連れたリオンがいた。 また、ロザリンと一緒に……。複雑な気持ちを押し殺し、私は笑顔を向けた。 「リオンも今から帰るの?」 「そうだよ、これから2人でアイスクリーム屋さんに行くところなんだ。ユニスは友達とどこかへ行くの?」 アイスクリーム屋さん……よりにもよって、同じ店に行こうとしていたなんて。 「違うわ、これから2人で雑貨屋さんに行くのよ」 驚いたことにエイダが違う店を口にした。 「あら、そうだったの? 同じ店に行くのだとばかり思っていたのに」 ロザリンはこれみよがしにリオンの手を繋いできた。 私に嫉妬させようとしているのだろうけど……あいにく、私には通用しない。 「ユニス、試験はどうだった?」 リオンは試験の事を気にしてくれているのか、尋ねてきた。 「まぁあぁ出来たと思うわ」 「そうだね。結果より、どれだけ頑張ったかが大事だものね」 「そうね」 リオンの言葉に引っかかりながらも、頷く。 「ね、リオン様。早くアイスクリーム屋さんに行きましょうよ。あの店は人気があるからすぐに混雑してしまうわ」 ロザリンがリオンの腕を引っ張る。 「うん、そうだね。行こう、またね。ユニス」 「ええ、また」 リオンとロザリンは私達の前を通り過ぎて行った。 「見た? あのロザリンて人。私達の前を通り過ぎる時、笑ったわよ。本当に嫌な人ね!」 2人の姿が見えなくなると、エイダが憤慨する。 「そうね。ロザリンは、ああいう人だから。でもエイダ、ごめんなさい。わたしのせいで気を使わせちゃったわね。本当はアイスクリーム屋さんに行く予定だったのに」 「いいのよ、雑貨屋さんにも行きたかったし。それにあの2人が一緒にいる店でアイスクリームなんか食べたくないわ……あ、ごめんなさい! 別にリオンの悪口を言ってるわけじゃないのよ?」 エイダが申し訳無さそうに謝ってきた。 「謝らなくていいわよ。私も同じ気持ちだったから。それじゃ、今日は雑貨屋さんに行きましょう」 「うん、そうしましょう」 エイダと一緒に雑貨屋さんへ向かいながら、私はリオンのことを考えた。 彼は本当にロザリンを選ぶつもりなのだろうか――?
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