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2章32 運命の誕生パーティー ②
「何だ、驚いた。リオンが来たから拍手したのか。それにしてもクラス全員出席するなんて、相変わらず人気者だ」
「別に俺はリオンなんかどうでもいいけどな」
感心するアンディと違ってザカリーはどこか冷めている。
「ユニス、リオンに何か話があったんじゃないの?」
リオンの様子を見つめていたアンディが話しかけてきた。
「え? ええ、そうだけど……でも、今のリオンには近づけそうにないわ」
本当はリオンに何処か体調が悪いところは無いか尋ねたかったけれども、今私が彼の元へ行けばSS2クラスの人たちから白い目で見られるだろう。
多分、あの人達は私が未だに試験で不正を働いたと思っているだろうから。
「ユニスはそれでもいいの?」
「後でプレゼントを渡す時間があるでしょうから、その時に話をするわ」
「確かに俺達が来て正解だったな。ユニス1人だったら完全に仲間外れにされているところだったじゃないか。だけど、リオンは婚約者なんだろう?」
ザカリーが私に話しかけてきた。
「そうよ」
「だったら、ユニスが真っ先にリオンと話をする権利があると思うけどな」
ザカリーは余程リオンが気に入らないのか、睨みつけている。そこで私は話題を変えるべく、2人に尋ねた。
「アンディとザカリーはどんなプレゼントを用意したの?」
「スケジュール帳にしたよ。とても使いやすいスケジュール帳で、俺も使っているしな」
ザカリーがラッピングされた紙袋を見せてくれた。
「僕は魔光石にしたんだ。暗いところでも光るから、ランプ代わりになって便利なんだよ。それで、ユニスは何にしたの?」
「私は銀細工の十字架のネックレスにしたわ」
リオンは銀細工が好きだったので、去年はブローチと本をあげている。
確かゲームの中に出ていたリオンも十字架のネックレスをつけていて、大切にしていたことが描かれいていた。
「ふ〜ん。そうか……でもなかなか渡せそうにないな。未だにSS2クラスの生徒たちに囲まれているじゃないか」
ザカリーはどこか面白くなさそうな口ぶりだ。
「……そうね」
その様子を見つめながら、私はリオンの話していた言葉を思い出していた。
『クラスメイトたちを誕生パーティーに呼んだって、僕はユニスをのけ者になんかしない。信じてよ』
あのとき、リオンは確かにそう話していた。けれど、現実はこうだ。
アンディとザカリーがいなければ、私は完全に孤立していただろう。
「仕方ないよ、リオンはSS2クラスでは人気者だからね。とりあえず、僕たちだけで誕生パーティーを楽しもうよ。幸い、美味しそうな食事や飲み物が並んでいるし」
庭には大きなテーブルが置かれ、豪華な料理が並べられている。
「そうだな。そうしよう」
ザカリーが立食テーブルに向かったので、私たちも後をついていった。
****
「ユニス、これも食べてみなよ」
アンディが、自ら私の皿に料理を取り分けてくれた。
「ありがとう、アンディ」
するとアンディは黙って、ニコリと笑顔を向ける。きっと、私に気を使ってくれているのだろう。
「ユニス。このジュース、美味しかったぞ」
ザカリーが私にジュースを勧めてきた。彼もまた私を気遣ってくれている。
「そうね、貰うわ」
ザカリーからジュースを受け取ろうとした時。
『キャアアアッ!!』
『ウワアアッ!!』
背後で大きな悲鳴が起こった。
その悲鳴に私達3人は振り返り……目を見張った。
SS2クラスの生徒たちが囲んでいたテーブルから、燃え盛る炎が噴き出してる光景がそこにあった――
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