緊張と笑いの収録

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「ふあー、もう、ぐったり」 収録を終えて控え室に戻ったハルは、衣装のままドレッサーに突っ伏す。 収録に疲れたというよりは、倉木と一緒だったことに緊張して疲れ果てていた。 「あー、なんか変なこと言わなかったかな?」 ひとりごちていると、マネージャーが嬉しそうに肩を叩いてきた。 「やったわね!ハル。NG大賞ももらえたし、コメントもウケてたし。なかなか良かったわよ」 「えー、そうですか?NG出して賞もらうって、喜んでいいのか…」 「まあね、本来ならダメでしょうけど。面白いNGなら結果オーライよ」 「はあ…。ありがとうございます」 「じゃあ、他の共演者の方にご挨拶してくるわね」 いつになくご機嫌なマネージャーは、鼻歌混じりに部屋を出て行った。 ハルは改めて、ふう、とため息をつく。 (倉木さん、ハンカチ気に入ってくれるかな?) あの時、結婚披露宴で差し出されたハンカチは、高級ブランドの真っ白なハンカチだった。 同じブランドの同じハンカチを買って返すつもりだったが、いざお店に行くと、さり気なく薄いブルーのパイピングが施された真っ白なハンカチが目に留まり、思い切ってそちらを購入した。 しかもそれは、薄いピンクのパイピングの女性用もあり、ペアで販売していたのだ。 つまり、その女性用の方は、今ハルが持っている。 (勝手にペアで持っちゃって、なんだかストーカーみたいで怖いかな?でもこれくらい、いいよね?) ハルは、衣装のポケットからそのハンカチを取り出すと、ふふっと微笑んでから大切にバッグにしまった。
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