アメリカン透?

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「透さん、おはようございます」 「おはよう。ごめん、待たせたかな?」 「ううん、私も今来たところです」 「そっか、それなら良かった」 日曜日。 透は由良と待ち合わせをした駅の改札前で落ち合う。 今日の由良は、軽い素材のエメラルドグリーンのワンピースに、薄手のパフスリーブのデニムジャケット、足元は白いサンダルで爽やかな装いだった。 「由良ちゃん、何を着ても可愛いね」 「え?ありがとうございます。透さんって、アメリカンタイプですね」 「は?何それ」 もしや、アメリカンハイスクールもどきの自分がばれているのかと、透は一瞬面食らう。 「どういう意味なの?アメリカンタイプって」 「だって、照れもせずに女性を褒めるでしょう?そんなにサラッと褒めてくれる男性、日本人にはなかなかいませんよ」 「そうかな?俺は思ったままを口にしてるだけだよ?」 「うわ、やっぱりアメリカンだ」 「だから違うったら!」 あはは!と由良は楽しそうに笑いながら歩き出す。 「ね、透さん。まずはお食事をごちそうさせてください」 「ああ、そうだったね。でもまだ時間も早いし、その前にそこのカフェに入ってもいい?」 「はい。じゃあ、ドリンクも私がごちそうしますね」 「ありがとう!お言葉に甘えて」 二人は駅前のコーヒーショップに入った。 「えっと、アメリカンをショートサイズで」 透がそう注文すると、由良が笑い出す。 「ほら!やっぱりアメリカンだ」 「違うってば!」 由良は笑いを残したまま、自分にはカフェモカを注文した。 「由良ちゃん、ごちそうさま。ありがとうね」 会計を済ませた由良に、透がお礼を言う。 「え?いえいえ。これからまだお食事をごちそうしますよ?」 「これで充分だよ。ありがとう!」 透はにっこり笑うと、アメリカンコーヒーとカフェモカのカップを手にして、店内を振り返った。 「あそこのソファ席でいい?」 「はい」 由良が頷くと、透はさり気なく由良に寄り添って歩く。 「どうぞ」 席に着くと、いつの間に持っていたのか、透は紙ナフキンやマドラーを添えて由良の前にカップを置いた。 「ありがとうございます。すごいなあ、さすがはアメリカン」 「まだ言ってる。何のことなの?」 「ひとり言です。どうぞお気になさらず」 由良はカップを手に、ふふっと小さく笑いを堪えていた。
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