アメリカン透?

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ランチは由良をどこかオシャレなレストランに連れて行って、自分がごちそうしようと考えていた透は、どこがいいか、さり気なく由良に聞こうと顔を上げた。 すると先に由良が、ねえ、と透に声をかける。 「ん?何?」 「あそこに女の子が立ってるでしょ?ほら、さっき私達が待ち合わせした場所」 「ああ。あのピンクのスカートの子?」 「そう。さっきから髪を整えたり、胸に手を当てて深呼吸したりして、なんだか可愛いの!きっと彼を待ってるんだと思う」 へえ、と透も女の子に目を向ける。 確かにソワソワと落ち着かない様子で、見ているこちらまでドキドキしてきた。 すると視線を上げた女の子が、パッと明るい笑顔になる。 「おっ、彼が来たみたい」 女の子に軽く手を挙げて近づく男の子に、由良まで嬉しそうな顔になる。 「彼女、嬉しそう!初デートかな?」 「そうかもね、初々しいな。やあ、待たせたかい?ごめんね」 急に声色を変えて男の子のフリをする透に、由良もプッと笑ってから可愛らしい声で言う。 「ううん、ちっとも。私も今来たところよ」 「そうかい?良かった。君を一人で待たせたら、他の男に取られやしないかと心配だったんだ」 由良はまた吹き出してから、女の子の芝居をする。 「まあ、そんな。私はあなたしか目に入らないわ」 「俺もだよ、ハニー。さあ、行こうか」 「ププッ…、ええ、行きましょ、ダーリン」 ちょうどその時、男の子が女の子の手を繋ぎ、二人は仲良く歩き出した。 「今日は君をどこへご招待しようかな」 「あなたとなら、どこへでも」 「じゃあ、二人だけの夢の国はどうだい?」 「ブッ!ええ、いいわね。私を連れて行ってくれる?夢の国の王子様」 「もちろんさ、俺のプリンセス」 するとまたセリフに合わせたように、男の子と女の子は顔を見合わせて微笑んだ。 「やだ!ほんとにそんな会話してるみたい」 「あはは!そうだね。案外、同じセリフ言ってたりして?」 「言ってませんよ、こんなアメリカンなセリフ」 「ええー?またアメリカン?」 「そう、またアメリカン!」 由良は声を上げて楽しそうに笑う。 こんなお馬鹿な自分につき合ってくれる子、いるんだな、と、透は由良を見ながら妙に感心していた。
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