アメリカン透?

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「わあ、綺麗な夜景…」 ホテルの最上階のレストランに入ると、由良は窓の外に広がる景色にうっとりと見とれる。 公園でお昼寝から目覚めたあと、近くのショッピングモールをぶらぶらしてから、透はタクシーで由良を都心のホテルに連れて来た。 「由良ちゃん、苦手な食べ物ある?コース料理でいいかな?」 「はい、何でも食べます!」 「あはは!そんな気がしてた」 料理の他にも、透は由良に、飲みやすく綺麗な色のカクテルをオーダーする。 「可愛い!女の子のお酒って感じ」 「ははっ、何それ?」 「ほら、20歳の誕生日に、彼が彼女にオーダーするの。大人への第一歩の初めてのカクテル、みたいな」 「確かに。まさに今の由良ちゃんのイメージにぴったりだね」 「またー?透さん、私、22ですけど?」 「あ、そっか」 「そっかって!忘れてたんですか?」 「だって昼間、芝生を駆け回ってたからさ。やっぱり若い子は元気だなーって思ってた」 「もう!高校生通り越して、小学生扱い?」 むくれる由良に、透は、あはは!とおかしそうに笑う。 「では、元気で可愛い由良ちゃんに。乾杯!」 「むー!若く見えるけど実は三十路の透さんにも、乾杯!」 「あはは!言うねえ」 賑やかに乾杯するが、カクテルにそっと口をつける由良は、大人っぽくて美しい。 (やっぱりモデルさんだけあるな。綺麗だし、華やかだ) 上品にナイフとフォークを使う伏し目がちな由良に、透はふと「遊びでいいからつき合ってと言われる」とバーで嘆いていたことを思い出す。 (こんなに魅力的な子に、遊びでいいから、なんて酷いこと言うな。由良ちゃんにはいつか、心から彼女を大切にして守ってくれる人と幸せになって欲しい) そう願いながら、透は由良を優しく見つめていた。
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