チョコの進捗

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チョコの進捗

「透ー、透?おい、透!!」 「わっ!なんだよ、大河。急に大声出さないでよ」 「急じゃないっつーの!何度も声かけたわ」 夏のミュージアムの準備も佳境に入ったオフィスで。 いつものやり取りが始まった、と思いきや、ん?と吾郎と洋平は顔を見合わせた。 「なんか、いつもと逆だな?」 「ああ」 どうしたのかと、二人で大河と透の様子をうかがう。 「透、お前なんでおやつ食べないんだ?」 「は?大河、何言ってんの?」 「だって、いつもならチョコ1箱食べ終える頃なのに、今日は全然食べてる気配ないし」 「別にいいだろ?チョコの進捗なんて」 「いや、気になる。透がチョコ食べないなんて、天変地異の前触れかも知れん」 「そんな訳あるかよ!」 「それくらい珍しいっつーの!どうしたんだよ、何かあったのか?」 すると透は、黙ってうつむく。 大河は、いよいよ深刻に透の顔を覗き込んだ。 「と、透?あの、その…。何か俺に出来ることはあるか?」 「はあ?何それ」 「いや、だって。お調子者のお前がそんな真面目な顔してるなんて、不気味で仕方なくて…」 「ちょっと、大河。ケンカ売ってるの?」 「まさか!全然!めちゃくちゃ心配してる」 真剣に訴える大河に、透も真顔になる。 「大丈夫だよ、何でもない。仕事はちゃんとするから」 「それはいいんだ。けど、何かあるならいつでも相談してくれ」 「うん、分かった。ありがとう、大河」 話を締めくくられ、大河はそれ以上何も言えずに、ただひたすら透の様子を気にしながら仕事をしていた。
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