お揃いの気持ち

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その時、コンコンとドアがノックされた。 「はい、どうぞ」 てっきりマネージャーだと思ったのだが、「失礼します」と男性の声が聞こえてきて、ハルは思わず顔を上げる。 「お疲れ様です、谷崎さん」 「く、倉木さん?!」 突然の倉木の登場に、ハルは驚いてあたふたと立ち上がった。 「あ、あの、どうされましたか?」 「実は、これが廊下に落ちていまして。ひょっとしてあなたの物ではないかと」 そう言って差し出されたのは、間違いなくハルが探していたピンクのパイピングのハンカチだった。 「あ!はい、私のです。さっきからずっと探していて…」 「やっぱりそうでしたか。良かった。はい、どうぞ」 「ありがとうございます」 両手で受け取ったハルは、次の瞬間、みるみるうちに顔を赤らめた。 「ん?どうかしましたか?」 「いえ、あの。その…」 ハルはうつむいたまま考える。 (これが私の物だと思ったってことは、倉木さんは気づいたのよね?このハンカチが、お揃いだってことに…) きっとそうに違いない。 (どうしよう、勝手にお揃いのハンカチを持ってるなんて、ストーカーっぽいと思われたかな…) 黙ったままのハルに、倉木が怪訝そうに声をかける。 「谷崎さん?どうしたの?」 「いえ、あの…」 ためらってから、ハルは思い切って頭を下げた。
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