驚きの展開

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驚きの展開

7月に入り、アートプラネッツの夏のミュージアムも、いよいよオープン間近となった。 世間の注目度も高く、前売り券も飛ぶように売れる。 休日やお盆期間は混み合うことが予想され、インターネットからの事前予約制にしたが、あっという間に満席になった。 プレオープンまであと1週間と迫ったある日。 透は思い立って、由良にメールを送った。 『由良ちゃん、お久しぶりです。元気にしてますか? 実はアートプラネッツが手掛ける夏のミュージアムが、もうすぐオープンします。 そこで由良ちゃんにお願いがあるんだけど。 ひと足先にミュージアムを体験してもらって、感想を聞かせてもらえないかな? ゲストの目線で意見を聞かせて欲しくて。 お仕事が忙しいと思うけど、もしご都合が合えばぜひお願いしたいです』 そう書きつつも、本当は由良の心を少しでも癒やしたかった。 一日一緒に過ごしたあの日の、別れ際の由良の言葉が忘れられず、透はずっと気になっていた。 (言葉で慰めるのではなく、彼女の心に寄り添いたい。俺が出来るのは、やっぱりこれしかない) そう思い、由良がミュージアムに来てくれるようにと願った。 するとしばらくして、相変わらず丁寧な文面の返信があった。 『透さん、先日は何から何まで、本当にありがとうございました。とても楽しい一日でした。 アートプラネッツのミュージアム、私も以前からとても気になっていたんです。 瞳子さんも千秋さんも、すごく楽しいってお話してくれたので。 実は密かに、夏のミュージアムがオープンしたら、お邪魔するつもりでした。 せっかく透さんにお声掛け頂いたので、お言葉に甘えて、ひと足早く伺ってもいいでしょうか?』 読み終えると、透は頬を緩めてすぐに返事をした。 『もちろん!俺がVIP待遇でご案内します。いつがいいかな?』 『ふふっ、VIPなんて嬉しいです。明後日は仕事が夕方に終わるので、そのあとはどうでしょうか?』 『うん、大丈夫だよ。じゃあお仕事終わったら連絡くれる?迎えに行くから』 『はい、よろしくお願いします。わあ、楽しみ!』 俺も、と書いてから慌てて消して打ち直す。 (なんか下心あるみたいだもんな) 下心ある人にしか優しくされたことがない、と言っていた由良の言葉を思い出す。 (もちろん俺は下心なんてないぞ。ある訳がない。由良ちゃんに、ミュージアムの感想を聞きたいだけだ。そう、あくまで仕事の一環なんだ) 己にそう言い聞かせ、 『それじゃあ、明後日ね。よろしくお願いします』 とだけ書いて送信した。
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