心からの祝福

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「あー、大河さん、早く帰って来ないかなー」 その日の夜。 瞳子はマンションで今か今かと大河の帰りを待ち構える。 亜由美と透の話を、大河ともしたかった。 「大河さん達もびっくりしただろうなあ。明日が楽しみ!透さん、亜由美ちゃんにメロメロなんだろうな」 ニヤニヤと想像していると、ふいにスマートフォンが鳴り出した。 「誰からだろ?あ!ハルさん」 瞳子は急いで通話ボタンをタップする。 「もしもし、ハルさん?」 『瞳子ちゃん、お久しぶり。元気?』 「はい、元気にしてます。ハルさんは?相変わらずお仕事忙しい?」 『うん、まあね。でもあの、ちょっといいことがあって…』 声を潜める嬉しそうなハルの口調に、瞳子は、ん?と首をひねる。 「ちょっといいこと?って、なんですか?」 大きなお仕事が決まったのかな?と思いきや、思いもよらない言葉が返ってきた。 『実は私、倉木さんとおつき合いを始めて…』 「えっ?」 一瞬固まってから、ええー?!と驚きの声を上げる。 「お、おつき合いを?倉木さんと?」 『うん。でも、その、普通のおつき合いとは違うかも。デートとかは出来なくて、時々夜に電話したり、仕事の合間にメッセージを送ったり。そんな感じなんだけどね』 「ひゃー!立派なおつき合いですよ!良かったですね、ハルさん」 『ありがとう!まさかこんなことになるなんて、私もまだ実感湧かなくて…。誰にも話してないんだけど、瞳子ちゃんにだけは、と思ってね』 そう言ってハルは、事の経緯を瞳子に話して聞かせた。 「わあ!なんて素敵なの。お揃いのハンカチがきっかけなんて、もうドラマみたい。ううん、ドラマよりもキュンとしちゃう。ハルさん、本当におめでとうございます!」 『瞳子ちゃん、ありがとう。まだまだ恋人同士とは言えないし、気軽に会うことも出来ないけど、でもね、気持ちは繋がってる気がするの』 「うんうん。可愛い!ハルさん」 『もう!からかわないで』 「だって本当に可愛いから。ピュアなハルさんが」 『そうかな?なんだか高校生よりも幼い恋愛だけど』 「ううん、そんなことない。それだけお互いを真っ直ぐに想い合ってるってことだもん。ハルさん、本当におめでとう!」 『ありがとう!私も毎日嬉しいの。会えなくても、声を聞くだけで幸せで』 「ふふっ、素敵」 『やだ!なんか恥ずかしくなってきちゃった』 「あー、本当に可愛い!ハルさん、また今度うちに遊びに来てください。恋する乙女の可愛いハルさんに会いたいから」 『なあに?瞳子ちゃんったら。随分余裕ね。瞳子ちゃんだって新婚ホヤホヤでしょ?ホワーンって、ハートマークが飛び交ってるんじゃない?』 「そうかも。じゃあ、どっちがハートマーク多いか、競争しましょ!」 『おっ、いいわよ。負けないんだからー』 「私も!…って、どうやったら勝ちなの?」 『え、分かんない』 あはは!と二人で笑い出す。 『ま、いいか!お互い幸せならそれで』 「そうですね。でも本当に会いたい!いつでもうちに来てくださいね」 『うん、分かった!必ず行く。私だって瞳子ちゃんの新婚生活、根掘り葉掘り聞いちゃうんだからね?』 話は尽きることなく、二人はいつまでもおしゃべりを楽しんでいた。
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