心からの祝福

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「初めまして、由良 亜由美と申します」 次の日。 千秋と瞳子と一緒にアートプラネッツのオフィスを訪れた亜由美は、メンバーに頭を下げて挨拶する。 「うわっ、若い!可愛い!え、いいの?ほんとに透で。こいつ、30のオッサンだよ?君、まだ10代でしょ?」 吾郎の言葉に、亜由美はふふっと笑う。 「いえ、私、こう見えて22才です」 「そうなんだ!でも8才違うのか。大丈夫?透と話、合う?」 「はい。私、透さんのこと大好きなので」 ひゃっ!と、瞳子は千秋と手を取り合って後ずさる。 「ありがとう。俺も亜由美が大好きだよ」 ひょえ!と、大河と洋平もおののく。 「うわっ、ラブラブ!なんだこれ、スイートパラダイスか?くうー、いいなあ!千秋さん、俺にも誰か事務所の女の子、紹介してよ」 「えー?いたかな?ゴリマッチョが好みの子って」 「千秋さん?!」 吾郎と千秋のやり取りに、あはは!と皆が笑い出す。 「という訳で、千秋さん。亜由美のことは必ず俺が幸せにします。どうかご安心ください」 「ええ、透さんなら安心だわ。うちの末っ子をどうぞよろしくね。亜由美、幸せになるのよ」 「はい!」 亜由美と顔を見合わせる幸せそうな透に、大河も顔をほころばせた。 「大河、やっとひと安心だな。これで瞳子ちゃんは狙われずに済む」 洋平がそっと大河に話しかける。 「ん?いや、どちらかと言うと申し訳なかったんだ」 「透に?」 「ああ。でも余計なお世話だったな。あんなにもお似合いで可愛い彼女と結婚するなんて。俺も嬉しくて仕方ない」 「確かに。ま、あと一名、地団駄踏んでるやつがいるけど」 ムキー!とゴリラのように悔しさを露わにしている吾郎に、洋平は苦笑いする。 「あいつだって、そのうち可愛い子を連れてくるよ」 「そうだな。案外、すぐかもね」 「ああ」 頷き合うと、二人はもう一度透に目をやる。 心の底から、おめでとうと祝福しながら。
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