幸せの女神

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「おめでとう!亜由美ちゃん。とっても綺麗!」 「ありがとうございます、瞳子さん」 「透さんもすごく素敵!お二人でいつまでもお幸せに」 「ありがとう、アリシア」 挙式のあと、しっかりと腕を組んでチャペルの外の大階段を下りていく二人に、瞳子はピンクの花びらを高く舞い上げて祝福する。 亜由美は外に出る前に真っ白なファーのケープを肩にかけていて、それがまた雪の国のプリンセスように美しかった。 「はあ、もううっとりしちゃう」 二人の後ろ姿を見送りながら、瞳子は頬に手を当てて呟く。 ああ、そうだな、と相槌を打ちながら、大河は瞳子の肩を抱く手を緩めずに、周囲に目を光らせていた。 「大河さんてば、またソワソワしてる」 「当たり前だろ?誰かが瞳子に言い寄って来たらどうするんだ?」 「はいー?既婚者に言い寄って来る人なんて、いませんよ」 「いるんだっつーの!」 はいはい、と軽くあしらって、瞳子は階段を下りていく。 「こら、瞳子!俺のそばを離れるなってば!ちゃんと手を繋げ」 「もう!子どもじゃないんですから、一人で歩けます!」 「違うっつーの!」 二人のやり取りに、やれやれと吾郎は呆れる。 「デジャヴかよ?洋平達の結婚式からまるで変わってないな」 その洋平達と言えば、すっかり大きくなった泉のお腹をなでながら、幸せそうに言葉を交わしている。 「くうー!あっちもこっちも、幸せいっぱいだな。あー、羨ましい」 ひとりごちながら、吾郎はビデオカメラを構えた。
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