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大階段を下まで下りた透と亜由美は、くるりと向き変えて皆に背を向ける。
独身女性が黄色い声を上げながら、亜由美の後ろに集まって来た。
(ブーケトスか。チャペルをバックに亜由美ちゃんが投げるところを撮ろう)
そう考えて、吾郎は女性達の更に後方でカメラを構える。
「行きまーす!」
亜由美が声をかけ、大きく両手でブーケを後ろに投げた。
キャー!と女性達が歓声を上げて手を伸ばすが、ブーケはその遥か上を通り過ぎる。
(うわ!亜由美ちゃん、顔に似合わずいい肩してんな)
そう思いながらカメラでブーケを追っていた吾郎は、綺麗な弧を描いて落ちてくるブーケに、え?と顔を上げた。
ポスッと吾郎の手の中にブーケが収まる。
「…は?」
呆気に取られていると、亜由美の嬉しそうな声がした。
「やったね!吾郎さん!」
「え、いや、あの…」
戸惑っていると、透も大きな声で呼びかけてくる。
「おーい、吾郎!次は吾郎が結婚するよ。俺と亜由美のパワー、すごいからな。May the goddess of happiness smile on you!」
すると亜由美が、違うよ、と透に言う。
「透さん。吾郎さんだけじゃなく、私達みんな幸せになるんだよ」
「そっか、そうだね」
二人は顔を見合わせると、前を向いて声を揃えた。
「May the goddess of happiness smile on us!」
大河も瞳子も、洋平も泉も、透も亜由美も、そして吾郎にも。
世界中のみんなに、幸せの女神が微笑みますように…
(『極上の彼女と最愛の彼 Vol.3に続く』)
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