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厳かな雰囲気の中、聖歌隊が賛美歌を歌う綺麗な歌声が響き、次に牧師が教えを説く。
そして誓いの言葉…
「新郎、冴島 大河。汝、新婦 間宮 瞳子を妻とし、健やかなる時も 病める時も 喜びの時も 悲しみの時も、互いに寄り添い 敬い その命ある限り 愛をもって心を尽くすことを誓いますか?」
「はい。いついかなる時も、妻に寄り添い、心を尽くし、妻を愛し続けることをここに誓います」
「新婦、間宮 瞳子。汝、新郎 冴島 大河を夫とし、健やかなる時も 病める時も 喜びの時も 悲しみの時も、互いに寄り添い 敬い その命ある限り 愛をもって心を尽くすことを誓いますか?」
「はい。いついかなる時も、夫に寄り添い、心を尽くし、夫を愛し続けることをここに誓います」
二人の確かな言葉に、ハルは思わず感極まって涙ぐむ。
向かい合った二人は愛の証の指輪を交換し、やがて大河がおもむろに瞳子のベールを上げた。
息を呑むほど美しい瞳子の横顔に、ハルは目を潤ませながら見とれる。
瞳子は頬を少しピンクに染め、純真な少女のようにうつむいている。
大河がそっと瞳子の頬に触れて何か言葉をかけると、瞳子は恥じらいながら顔を上げて大河を見つめ、幸せそうに柔らかい表情で微笑む。
大河は瞳子の肩に手を置くと、ゆっくりと顔を寄せ、瞳子に愛を注ぐように口づけた。
ハルの瞳から、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
(なんて感動的なの。もう胸がいっぱい…)
苦しくなるほど込み上げてくる感情に、懸命に嗚咽を堪えていると、ふと隣から白いハンカチが差し出された。
倉木が優しく微笑みながら、ハルの手にハンカチを握らせる。
「すみません、ありがとうございます」
ハルは頭を下げるとハンカチを受け取り、そっと目元を押さえた。
結婚証明書にサインをして、晴れて夫婦となった大河と瞳子は、互いにしっかりと腕を組んでバージンロードを歩き始めた。
「おめでとう!」
「お幸せにね」
列席者の言葉に笑顔で応えながら、二人はチャペルの扉の前まで来る。
その後ろ姿が小さく遠ざかり、チャペルの扉が開かれると、次に画面に映し出されたのは、青空とチャペルをバックにした二人の笑顔。
大階段を下りる二人の周りを、綺麗な花びらがひらひらと舞って祝福する。
(うっ、うっ、なんて素敵なの。幸せと輝きに満ち溢れてる)
ハルはハンカチを握りしめ、とめどなく涙を溢れさせながら画面を見つめた。
最後に、幸せいっぱいに微笑み合う瞳子と大河がアップで捉えられ、すーっと角度を変えて空を映し出したあと、ゆっくりと画面は白くなり、キラキラと輝きながら映像は終わった。
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