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私は思わず顔をしかめた。
「…ご確認を、お願いいたします」
そう言われたけれど、僅か棺への一歩が踏み出せない。喉の奥が震えて。やがてそれは今にもまた泣いてしまいそうな嗚咽となった。事故による遺体の本人確認が、こんなにキツいものだったなんて。
だがそれは後ろに立つ姉の千奈津さんも、どうやら同じだったようだ。いくら立っていても彼女は私の背中を押すことはしなかった。すると、そばに立つスタッフが、ご確認を、と私に再度声を添えた。ようやく意を決して両手を強く握って。腐敗臭の強い棺の中を覗いた。
*
「なっちゃん」
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