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 高音のインターホンの音が、その場に漏れ聞こえた。千奈津さんが押したのだ。一軒家の家の中でインターホンがよく響いているのが、玄関の外からでも分かった。ダークブラウンの色調と白い壁で造り建てられた一軒家の玄関前には小さなガレージと控えめな草地の庭があり、小人やうさぎのファンタジックなガーデンピックが刺さった色とりどりの花が咲いた鉢植えやプランターが並んでいる。その中央にねずみ色の長方形の石畳が玄関に向かって敷き詰められており、私と千奈津さんは花や草を踏む心配をすること無く、さくさくと玄関にたどり着いていた。  「アカリー!」 インターホンを押しても一向に現れない家の主に業を煮やし、千奈津さんが玄関の扉に向かって友人である「明里(あかり)さん」の名を呼んだ。すると———。
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