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彼女、明里さんはリビングの私のシューズと同じグレーカラーのソファに、私と千奈津さんを座らせた。明里さんはそんな私達の座る場所から、よく見えるリビングに繋がったキッチンへと向かった。  私は千奈津さんの左側に座ってから、落ち着きなく周囲をさり気なく見渡した。ソファの後ろには日が差し込む大きな窓があり、白いカーテンが日差しを通しているせいか、明里さんは照明をオフにしているようだった。私としては別段暗くもないのだが。部屋の隅には観葉植物が置かれ、リビングの端のほうの壁には、子どもがいるらしく『英語テスト』の試験成績の賞状や、本棚の中には漢字のノート、かけ算割り算…といった学習用の参考書が収められているのが見えた。 「ゴメンね……千奈津、今日は突然」
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