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キッチンで保温していたらしいポットからティーカップにコーヒーらしきものを注ぎながら、そう声をかけてきた。
「…別に。あんたが私の事情を考えないのはいつものことじゃん」
周囲に気を取られる中、不意に聞こえた『千奈津さんらしからぬ口調』に、私は右側に座っている千奈津さんを眉根を寄せて振り返った。彼女は不機嫌そうではないものの、しかし心なしか無関心気な風にも見受けられた。オシャレなトレンチのようなお盆に乗せたティーカップを私達の前で膝をついてテーブルへ各々置く明里さんは「あんたも変わってないわね…」と特段気持ちのない声でそう答えた。
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