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 しっかりと手を繋ぐ若い母親と、小学生の男の子。大学生らしい若い青年二人連れの姿もあった。そして―――。  「サイジョウヒロトさんの、ご家族の方!いらっしゃいますでしょうか!」 まだ遺族が20人ほどが残る中、8メートルほど離れた場所に関係者用会議室から出て来た職員の男性が、拡声器のスピーカーでこちらに大声で名前を確認を取る。 「サイジョウヒロトさんの、ご家族の方!」 私は、脚が固まって動けない。そんな奇異な症状に囚われていた。
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