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「あ!そうです!検視によれば、胃の中からコーヒーの成分が検出されてます」
コーヒー……。
「じゃ、ひょっとして…」
その時だった。私の声が、まるで掻き消されるほどに大きく響いてきた声があった。廊下に響いた声は女性のもので。私は喋るのも途中に千奈津さんと共に響いてきた方向を振り向いた。どうやら小さな5·6歳くらいの男の子の手を引いてこちらに駆け足で走って向かって来たらしい「彼女」。カジュアルな出で立ちをしたその人は、私達3人のもとまで走ってくると、バタバタッと足音を立てて立ち止まる。動揺している為か際限のない大声で、婦警風の彼女に尋ねた。
「…すみません!」
捜査員である彼女は目を丸くして、何でしょう、と頷いた。女性は、乾いた喉で一度咳き込む。
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