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ラクスは眉を潜めていた。
「え…?」
「あの時はレーノルズを失った悲しみで、感情的になってたんだ。
幼馴染みで昔からあの子とずっと一緒だったあんただって、悲しかったはずだったのに。
…悪かったね。ずっと謝りたかったんだ。」
彼女はどこまでも申し訳なさそうだった。
ラクスは首を横に振る。
「いい。気にしてない。」
「こんな事で罪滅ぼしになるとは思ってないけど、またなにかあったら帰っておいで。
レーノルズは死んだが、あんたの事も息子のように思ってるんだからね。」
そう言うレーノルズの母を、ラクスは見つめていた。
「ありがとう。…俺も、ごめんなさい。
あなたに、ずっと言いたかった。俺のせいで…。」
レーノルズの母が首をゆっくりと振った。
まるで、これ以上はいいと言わんばかりに。
「申し訳ないと思うなら、あの子の分まで生きな。それが今のあんたに出来る事だよ。」
その声音は、穏やかだった。
やがてレーノルズの母が居なくなってから、ラクスは天を仰いでいた。
閉じた瞳には、一筋の涙が伝っていた。
「…ラクス、大丈夫ですか?」
「ああ…。」
今までこんな自分が生きていて良いのかと、ラクスは思っていた。
許されたとは思ってない。だが少しだけ、救われた気がした。
「余計に、逃げられないと思った。」
「逃げようとしたんです?私がいるのに?」
エーテルは不満げにラクスを見つめていた。
「悪かった。」
「仕方ないですね。今日だけ許してあげます。」
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