エデンの塔

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エデンの塔

そびえ立つ塔は見上げるほど大きい。 多くの命を奪っている場所とは思えないほど、真っ白な塔だった。  「天空に通じていると言うのは、あながち嘘でもなさそうだ。」  「あながちではなく、事実ですよ。 この塔の最上階に、天使だけが開けられる仕掛けがあります。そこから天空に行く事が出来るんです。」  「へえ、これは人間が作った建物じゃないのか?」  「エデンの塔を作ったのは創造神様です。 だから塔の内部に時の概念はなく、過去でもあり未来でもあり、時が止まっているとも言われています。」  「ふーん。」  「ふーんって、なんですかっ、興味がなさそうですねっ!聞いたのはあなたなのにっ! ラクスはいつも涼しげなんですから。」  「そうでもない。」  「…え?」  苦笑しつつ、ラクスはエーテルに手を見せた。 ラクスの手は、震えていた。 恐怖、もしくは高揚。自身にあるのがどちらか、わからなかった。あるいは両方かもしれない。  「大丈夫、なんですか…?」  心配そうに問うてくるエーテルの頭を、ラクスは苦し紛れにポンポンと撫でる。  「ああ。魔物が現れた時までには、どうにかしておく。…あんたも、そろそろ帰る準備をしておけ。」  ラクスは塔を見上げると、入口に向かって歩き出していた。  「もう、仕方がないですねぇ。 …世話が焼けるヒトなんですから。」  やれやれと、息を吐きつつ、エーテルはラクスのあとを追った。
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