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『ラクス、うちでご飯食べて行きなよ。』
『良いのか…?』
『当たり前だよ。母さんも良いって行ってたし。なんせ、僕は親友だからね~。』
『助かる、レーノルズ。…本当に。』
『ラクスが素直に僕に感謝するなんて、明日は何か起きそう~。』
『え?』
『なんてね、冗談だよ。ほら、家に帰ろう。母さんも皆、僕達を待ってる。』
レーノルズが手を差しのべてくれたから、ラクスは孤独じゃなかった。
レーノルズは困ってるラクスをいつも助けてくれた。
レーノルズ一家からお世話になり、恩を受けたのだ。
共に冒険者になろうと誓い、信頼出来る仲間も出来たが、エデンの塔で皆死に、ラクスだけが生き残った。
「俺だけ生き残った。だからレーノルズの母さんから責められるのは、当然だった。」
「…ラクス。あなたは罪の意識を抱えてきたのでしょう。散々苦しんできた。
そんなあなたを、これ以上、誰も責められないと思います。」
ラクスはエーテルから目をそらしていた。
エーテルの憐れむような眼差しが、ラクスには痛かった。
「今から向かうのは家ですか?」
「いや、レーノルズの家だ。」
そうラクスが答えた時、エーテルが狼狽えた。
「え?でも…」
「当時、きちんと謝れてない。だから…」
向かおうとした道を、エーテルが遮っていた。
「駄目です。行かせません。」
「あんたがどうして邪魔をする?」
「当然です。あなたがまた叩かれに行こうとしてるのに、私が素直に行かせると思ってるんですか?」
「これは俺の問題だ。放っておいてくれ。」
「だ、め、で、す~!!」
対して力がないのに、エーテルがラクスの体をぎゅっと掴んでいた。
「なんなんだよ、あんたは…。」
ラクスは思わず、呆れた目を向けていた。
その時だった。
「あんた、ラクスかい…!?」
声がして振り返ったラクスは、固まっていた。
そこにいたのは、レーノルズの母だった。
「ラクス、行きましょう。」
エーテルに引っ張られるが、ラクスはそれを無視して目を向けていた。
「久しぶりだな。俺はあなたに謝りたいとずっと思って」
「ラクス、あんたにずっと、謝りたいと思ってたんだ。あの時は、悪い事をしたね…。」
言いかけたラクス。それを遮ったのは、レーノルズの母だった。
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