7人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
Hが繁殖するにつれ、その住処である大きな生命体は傷んだが、耐えられない痛みではなかったため、しばらく様子を見ていた。
その間にも生命体Hは自分の縄張りを広げていった。個の力は弱いが、集団になると、それはもはや脅威だった。
大きな生命体の中は汚れていった。規則正しかった生命体の秩序は、Hの出現によって悉く乱れていった。
中にはすでに再起不能となった組織も出来上がったが、生命体Hはそれを無視して、次々と自分たちの住みやすい組織を拡大していった。
そこが廃墟になると、そこを捨てて次の居住地を浸食していく。それが生命体Hのやり方だった。
大きな生命体のほとんどが生命体Hに支配された。生命体Hの力は衰えるところを知らず、大きな生命体自体の存続が危ぶまれるまでになっていた。
それでも大きな生命体は我慢していた。
いつかは共存できる。そう信じて。
最初のコメントを投稿しよう!