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佐久間に、目が覚めたと連絡しようとしたら
向こうから電話がかかってきた
全く仕事にならないから、連れて行く
との事だ
目が覚めたぞと言ったが
とにかく1度顔を見せるとの事
まあ、今から来るなら
顔見てさっさと帰れるだろ
すっかりガラ~ンとした外来で待ってると
皇先生が、歩いて来た
「如月さん!すいません。ちょっと病棟行ってて…結君目覚めたんですね」
「まだ、ぼーっとしてましたけど」
「ちょっと、目覚めた時、不安にならない様に、そういう点滴もしてしまったので…今日はこのまま、ゆっくり休ませてあげて下さい。私ももう外来は終了なので、一緒に行きましょうか」
「真田、すまないな。寝かせといてくれたのか。てっきりもう、追い出されてるかと思ってたよ」
「失礼だな。今日は落ち着いてるから大丈夫だ」
「結君、分かるかい?」
結君はまだ眠そうで
「…皇…先生?」
うっすら目を開けると、そう言った
「そうだよ。薬も効いてるから、眠くても心配しなくていいからね。今日はゆっくり休もうね」
「……皇先生」
「なんだい?」
「…ありがとう…ございます」
「先生も、結君の傍に居る人達も、皆思ってるよ。結君に会えた人達皆、ありがとうって思ってるよ」
「……皇…先生…の…」
「ん?」
「…声……」
「……うん。気に入ってもらえて良かった」
皇先生がそう言うと、結君は嬉しそうに笑った
医者って凄い
結君と会うの…今日で2回目なのに
伊織よりずっといい関係
笑えるわ
ウトウトしてる結君を叶が抱き上げて、待合室に出ると
ちょうど伊織と佐久間が到着した
そして、来なくてもいいのに、また九条まで現れた
伊織は椅子に下ろした結君を
叶から奪う様に抱き締めるわ
うっすら目を開けた結君に名前呼ばれたら
もう、泣きそうな顔しちゃって
声掛けながら頭撫でるし
その光景を見てる九条も
お前は伊織と結君の母親か
って、突っ込みたくなる様な眼差しで見てるし
この人達、どうしちゃったの?
爆笑!って思うけど
「如月さん、あの方が…?」
「はい。色々考えちゃって、名乗るに名乗れない、馬鹿な叔父です」
「…あそこまで想ってるのに...名乗れないのなら、だいぶ複雑で面倒な理由があるんでしょうね?」
「どうなんでしょうね…佐久間!」
伊織達を見てた佐久間を呼ぶ
「あの叔父さんの秘書で、私と同じく友人でもあります。佐久間、こちらが皇先生だ」
「初めまして、加賀美の秘書の佐久間です。結君が、お世話になっています」
「初めまして、皇……」
?
皇先生が、途中で止まった
「あの…何か?」
「あ…いえ。失礼しました。とんでもないタイミングで、仕事の事思い出してしまって…」
「ああ…私も時々あるので、分かります。特に、今までと違って気をつける事等は、ありませんか?」
「ええ。今日の様な事があっても、そんなに
大袈裟に考えないで、傍に付いててくれれば大丈夫です。病院だったので、その辺に寝させる訳にもいかないですし、意識を失うまでのエピソードも聞いてなかったので、一応点滴もしましたが、寝て起きて、安心出来る場所があれば大丈夫です」
「分かりました。お世話になりました」
佐久間がペコリとお辞儀をして
「副社長、戻りますよ。結君は叶達に任せて下さい」
今に、キスでもするんじゃないかってくらい、結君を抱き締めてた伊織に声を掛ける
「…………」
気持ちは分かるけど、拗ねた子供じゃねぇんだから
さっさと動けよ
ようやく叶に譲ると、こちらに来て
「初めまして、加賀美です。あの子が、お世話になってます」
「いえ……」
何だ?
すげぇ伊織の顔見てる
あ…見た事ある!加賀美グループのか!
って、感じでもない
「?…あの…何か?」
「あっ...如月さんから、相談されたのですが…先程の様子を見る限り、結君の事、大切に思ってるのは分かります。それでも言えない程の事情を、私は知りませんので、私に判断は難しいです。結君を大切に思ってる皆さんが選択した答えが、1番いい選択だと思います。その代わり、どんな選択をしても、結君のフォローはちゃんとしますので、安心して皆さんで考えてみて下さい」
「……分かりました。考えてみます。結の事…宜しくお願いします」
そう言って頭を下げた
頭を下げた
伊織が!
なんとまぁ…
こんなに変わるもんかね
九条が、嬉しそうに笑ってるじゃないか
佐久間は、やれやれといった感じ
そりゃ、そうだ
だってこれは、きっと……
多分、佐久間も俺も
もっと忙しくなる
それでも、結君の為に頭を下げる伊織を
絶対支えてやろうと思う
どうやら彩仁の血を引いた結君に
今度は俺達が
振り回される番らしい
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