兄不孝

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そうして それから3日後 結の体調も、すっかり戻り 佐久間と如月の猛烈なサポートと、やりくりのお陰で 丸1日休みを取る事が出来た 「信じられない。丸1日休みだなんて…どうやったんだ?」 「そん話はいいので、さっさと行きますよ……」 「何だ?じっと見て…」 「休みの日もスーツですか……」 「何を着たらいいのか分からない。考えるのも面倒だ。そういうお前だってスーツだろう」 「私は、こんな事だろうと思って合わせただけです」 そもそも、普通の服など、ほとんど揃えてないんだ 都合いいように言ってるが 絶対こいつも同じ様な理由だ 「ちなみに私は、きちんと私服も揃えてあります」 「……わざわざ言わなくていい」 何故分かった? 声に出てたか? 「加賀美さん!佐久間さん!おはようございます!」 ドアを開けると、結が笑顔で駆け寄って来た 「おはよう」 「おはようございます、結君。沢山眠れましたか?」 「はい!楽しみで、眠れなかったらどうしようと思ってたんですけど、薬飲んだらちゃんと眠れました」 「そうですか。叶、すぐに出れるのか?」 「出れるけど?」 ん? なんか…視線が…… 俺達から離れた場所に透哉が… 「透哉…睨むな」 「ずるい…皆して……俺だけ留守番なんて…」 「子供みたいな事を言うな」 「ご褒美を要求する」 「お前…叶から悪影響受けてないか?」 じっと見てくるので 「はぁ…なんだ?言ってみろ」 「今日は、久しぶりに結君と寝たい」 「…は?」 「叶ばかり…たまには叶がこっちの仕事したっていいだろ」 「まあ…元々そうしてましたから、たまになら支障はありませんね」 佐久間が余計な事を言う 「えっ!やだよ。結と寝るのは俺の仕事なの!」 「そんなの決まってないぞ!今日は俺とだ!」 「どっちでもいいから、2人共静かにしなさい。出発しますよ」 何故俺の仕事は こいつらで、ちゃんと回ってるんだ… ん? 結が困った顔をしている 「はぁ…結は、どっちでもいいのか?」 「あ...俺は、如月さんも叶さんも嬉しいです」 「だったら、今日は透哉だ。明日からはまた叶にしろ」 「え~~~っ?!」 「やった!結君、待ってるね~。皆行ってらっしゃい」 何なんだ? ここは幼稚園か?保育園か? 「如月さん、行って来ます」 結の行って来ますに 満足そうに手を振る透哉 疲れる 結が車の窓から、嬉そうに景色を眺めてる そして、助手席で叶が不貞腐れてる 俺が1番会ってる時間短いんだ これ位我慢しろ 「少し時間かかるから、寝ててもいいぞ?」 「はい……加賀美さん、父さん…加賀美さんに何か酷い事言ったり…しましたか?」 「…いや?何故そう思う?」 「父さん…加賀美さんの話する時、いつも少し辛そうな顔してたから…大切なのに会わないし…何かしてしまったのかなって思って」 辛そうな顔… させてたのか… 「それは、俺のせいだな。綾仁には…凄く沢山助けて貰ったんだ。なのに…全然返してあげる事が出来なかった…」 「いえ。辛そうなのは、加賀美さんの事、大切に思ってたからです。そんな風に思える人が居るって、幸せな事だと思います。父さんと出会ってくれて、きっと父さん感謝してます」 出会って… いや… 出会ったなら、簡単に去る事も出来たろうが 一緒に生まれてしまったから 綾仁は、俺に付き合うしかなかったんだ 「両親の家族の話を聞いた事は?」 「母さんは…親も兄弟も居なかったって言ってました。父さんは…自分を愛してくれた人達を置いて来たんだって言ってたので…多分…家族が居たんだと思います。そんな事、父さんに出来るのかなって思ったけど…父さん、泣きそうになってて…だから、聞く代わりに父さんの事抱き締めました」 この親子は 親子が逆転してるんじゃないか? 「知りたかったのに?」 「父さんがそうするって、凄く大きな理由があったと思うので…それで…父さんが傷つかない訳ないので…いつか、父さんが話したいと思った時でいいと…思ってました」 いつか… 誰だってそう思う まさか、永遠に来ないなんて思わない 「綾仁は、どんな料理を作ってくれたんだ?酷い料理じゃなかったか?」 「色んな料理、沢山作ってくれました。失敗する事もあったけど、それも楽しかったです。1番美味しかったのは、ハンバーグ。よく、一緒に作りました」 ハンバーグ… どうやって作るんだ? 「結も作り方知ってるのか?」 「はい!今は1人で作れます」 「色々…包丁で切ったりするのか?」 「ぶっ…!」 「叶…こらえろ」 何で叶は笑ってるんだ? 「自分で火を点けて焼く?のか?」 「はい。父さんに教えて貰ったので、色々作れます」 「…今度…作ってくれ」 「え?」 あ… しまった… 変な事言ったか? 「…くっくっくっくっ…」 これは…おかしな事だったな 「あ…いや…」 「俺料理は作れるけど、下手くそですから。加賀美さんのとこの料理凄く美味しいから、きっと笑われちゃいます」 「笑わない。下手くそでも何でもいい。お前が作ってる所が見たい」 「……えっと…作ってるとこも…切り方とか下手だし、手際悪いですよ?」 「でも…自分で食べれる物を作れるんだろ?」 まだ、こんな小さいのに 自分で自分の食べる物を作れるなんて… 見てみたい 「ふっ…俺の下手くそな料理で良ければ、いつでもどうぞ」 「…ほんとか?」 「はい」 「佐久間、聞いてたか?」 「聞いてましたよ。スケジュールを組みますね」 「俺も結の料理食べる~」 そうして 何の料理がいいだの 何が難しいだの話しながら 綾仁の元へと向かった
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