受診

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「…難しいですね。私は、結君の事を知り始めたところですが、その叔父さんが、どんな方で、どんな接し方をして、結君とどんな関係をきずいているのかを知りません。今の結君にとって、その人が叔父である事が、プラスとなるかマイナスとなるか…判断するのは難しいです」 「そう…ですよね…」 伊織… さっさと名乗らないから タイミング失ったかもしんないぞ 「ただ…」 皇先生が、言葉を続ける 「如月さんには、とても結君が心を開いてるのが分かります。おそらく、さっき一緒に出て行った方にも…。たまに数分間会っている私より、1番近くで見ている如月さん達の方が、多分結君の気持ち、分かるのでは?」 「……色々と複雑でして…私達も、さっさと名乗れ!とも言えないうちに、結君がこんな風になってしまって…」 「……ははっ。上司といい関係で羨ましいですね?」 皇先生が、そう言って笑った まあ…あまり上司にそんな風には言わないか 「何が正解かを探すのは難しいでしょう。こう言ったら、お任せみたいになってしまいますが、結君の事を本当に思ってくれてる人達で考えて出した結果が、1番いいと思います。その代わり、そのフォローはさせていただきますので、困った事があったらいつでも、私にでも九条にでも…」 ♪︎~~♪︎~♪︎~~ ん? 「あ、失礼。ちょっと電話出ていいですか?」 「どうぞ」 皇先生が、PHSを手に取ると 「…九条からだ」 そう言って電話に出た 九条から? …嫌な予感がする 「もしもし?……そうか…分かった」 PHSを切ると 「結君が発作を起こしたそうです。行きましょう」 結君は、気を失っていた こんなの…初めてだ 「結君!」 涙流したまま気を失ってる 皆でストレッチャーに乗せると、九条が急患室に連れて行き、皇先生と入っていった 「叶…何かあったのか?」 「何も…ただ歩いてたら、突然足止めて...」 「はぁ…雨だけがトリガーじゃないって事か…」 「こんな頻度で…あんなに苦しむなんて…結、可哀想」 「そうだな...あっ!伊織に電話!ちょっと電話してくる!」 忘れてた 殺される 「……ああ。九条は大丈夫だから、わざわざ来させなくてもいいって言ってたけど………いやぁ...皇先生も、診察中抜けて来てるし、会えるとは……ああ…何か分かったら、また連絡する」 はぁ… ほんと佐久間は、柔軟に対応してくれるから助かる 伊織に言ったら、人の話も聞かないで乗り込んで来るだろうからな 叶の元へと戻る 「佐久間とあいつ来るの?」 「いや…来て皇先生に会った方がいいかと思ったらしいが、先生も診察中だし、こっちの都合いい時間に突然は無理だろ。どうせ伊織ずっと待ってなんかいられないし。それなら、九条が大丈夫と言うなら、俺達に任せるってさ」 「まあ…ほんとに大丈夫なら、人数ばかり多くてもな。ほんとに大丈夫なのかは、疑わしいけど…」 「九条、全然焦ってなかったし大丈夫だろ」 しばらくすると、皇先生が出て来た 「大丈夫そうです。せっかくなので、少し落ち着くような点滴をしておきましたので、起きるまで寝かせてもらいましょう。もう少ししたら、救命医が話してくれると思います。如月さん。話の途中ですが、外来放り投げて来てしまったので、結君が目覚めたら、また如月さんだけでも来ていただけますか?」 「分かりました。ありがとうございます」 そう言うと皇先生は、ダッシュで去って行った 更にしばらくすると、知らない医者が出て来た 「初めまして。救命医の真田です。特に、身体的に問題となる事はなさそうで、ぐっすり眠ってます。中へどうぞ」 そう言われて叶と中へと入ると 結君は、点滴されながら、すやすや寝てて 傍には九条が座って、手を握っていた 「来たか。ぐっすり眠ってるぞ」 「結…苦しかったな…」 叶がすぐに傍に行って、頭やら顔やら手やら触っている きっと九条が結君に抱く気持ちは 俺達とは違うものなんだろな 彩仁には、なんだか大きくて複雑な思いを抱えてたみたいだから 九条に伊織に結君… それぞれの人生に大きな影響を与えた彩仁 大学時代、話してみれば良かったな 伊織にはない 沢山の友達に囲まれて なんの不安もなく笑ってる様に見えたから つまんない奴と思ってたのに まだまだ見る目がなかったんだな 九条に初めて会った日を思い出す 「ふっ…」 九条が気付いて近付いてきた 「何がおかしいんだ?」 「いや。お前に初めて会った時の事、思い出してさ」 「…?そんな思い出して笑う様な事あったか?」 「お前の顔…」 「顔?!失礼だな」 「俺、彩仁に関する何らかの…闇に封じられた殺人事件の告白でもされんのかと思った」 「…はあ?」 「加賀美の家に口止めされてるけど、実は俺…とか言われたら、どうしようかと思ったわ」 あの余裕のない顔 「…そんな顔してたか?」 「してた。まあ、話してるうちに、そんな物騒な話じゃないって分かったけど」 「あの時、お前の話を聞いて…まあ、そんなに不幸ではない感じで生きてんだろうなって思って…救われたし、嬉しかったし…良かったなって思ったんだけどな…」 「伊織以外で彩仁を知ってる奴が居るって、結君にとって嬉しい事だと思うよ」 「知ってるという程は…知らないんだけどな……」 そう言って結君の方を見つめる九条の顔は 嬉しい様な 寂しい様な 困った様な そんなのが入り交じった表情だった 知ってるという程知らない奴がこうだ 伊織と結君は、大打撃 彩仁…凄いわ……
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