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心臓が飛び出し方なほど暴れている。
身体中、ガタガタ震えて動けない。
そう、俺は怖かった。
泣きたくなるほどに。
「さすがヒーロー……やるときゃやるじゃねぇか……。」
満身創痍のギャラクシィマンは、怪獣たちの殲滅を確認すると、自分の星へと帰っていった。
――――――
翌日、俺たちの仕事はいつも通りだった。
倒した怪獣たちの跡片付け。
壊された……俺たちが壊した施設も含む瓦礫の撤去。
数日前の俺なら、なにかとぼやきながらやっていた通常業務。
しかし、今の俺は違った。
怪獣と戦い、人々を守ることが、どれほど危険で、怖くて、大変なことなのかが分かった。
建物を壊してしまっても、人々を守るということは簡単ではないのだ。
文字通り、命がけなのだ。
そして、人々の期待を一身に背負うということは、途轍もない重圧になるということとも、俺は自分の身をもって知った。
「これからは、少しだけ『アイツ』のフォローが出来るようにするかな。」
『アイツ』とは、ギャラクシィマンのこと。
余所の星の住民なのに、地球に怪獣が現れると我が身を顧みず助けに来てくれる。
恨み節など言える相手ではなかった。
感謝すべき存在だったのだ。
「俺たちは俺たちなりに、ちゃんと地球を守る努力をしないとな。」
ギャラクシィマンと比べたら、怪獣たちと比べたら、俺たち人間など非力でちっぽけな存在だ。
それでも、人間は自分たちの生きる星の命運を、余所者に託すわけにはいかない。
自分の生きる星は自分で守る。
そのために尽力するのが、俺たち地球防衛軍の役目だ。
済し崩し的に入隊し、何のやりがいも感じなかった、今の仕事。
俺は、そんな仕事で新たな使命とやりがいを見出したのであった。
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