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幸運なことに、俺を追う怪獣は足が遅かった。
俺は怪獣が諦めないようなギリギリの距離で戦車を走らせる。
「少しでも遅れれば、踏み潰される。早すぎればヤツは追いかけるのを諦めて街に行く……。命がけじゃねぇか。」
戦車を運転しながら、俺の頭も半ばパニックに陥っていた。
どうしてこんなことをしてしまったのか。
俺がやらなくてはならなかったのか?
上官は何をしてる? ヒーローは?
「……えぇい、うるせぇ!!」
次から次へと浮かんでは消える、俺自身の不平不満をかき消すように、俺は思い切り自分のヘルメットで自身の額を殴りつけた。
「イテェ……。」
じわじわと感じる、額の痛み。
自分のことをこんなに痛めつけたのは、人生で初めてだ。
しかし、そのお陰で腹を括れた。
「何でやるって? そんなの、地球が滅びたら困るからに決まってるだろ、俺!!」
こうなったら、何とか俺の力で怪獣を1体始末してやる。
闘争心に火が点いた。
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