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作業員の立つすぐ側に戦車を止めると、俺はハッチを勢いよく開き、叫んだ。
「オッサン! 早く乗れ!」
作業員も必至だ。
俺の声を聞くと、一目散に走ってきた。
どうにか戦車に乗り込む。しかし……。
「あ……」
「マジかよ……」
そんな俺たちを、怪獣は覗き込むように睨んだ。
怪獣の手が、俺たちの乗った戦車に伸びる。
(ちくしょう……溶鉱炉はすぐそこなのに……!)
怪獣に掴まれてしまっては、戦車などなすすべもない。
あと少しで、怪獣を溶鉱炉に叩きこんでやったのに……。
「おしまいかよ……。」
一気に体の力が抜けた。
これが、絶望か。
先ほどのようにパニックに陥らず、スッと気持ちが落ち着いた。
あぁ、本当に俺はここでおしまいなんだな。
覚悟を決めた。
その瞬間だった。
目の前にいた怪獣が、まるで空を飛ぶかのように宙を舞い、そのまま溶鉱炉に突っ込んだ。
「ギャァァァァァァ!!」
断末魔の悲鳴を上げ、怪獣は溶けて無くなった。
まるで夢のような、奇跡。
何故、怪獣は飛んだのか?
俺は怪獣のいた場所を振り返る。そこには……。
満身創痍のギャラクシィマンがいたのだった。
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