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覚醒する男
「「キャーっ!」」
お化け屋敷の中では女性たちの悲鳴がこだましていた。
「やったあ、ジーさん。人間たちが驚いて逃げていくよ」
「そうだろ。俺の言う通りにやって大成功だな。これで自信を持って大丈夫だ。自信に勝る良薬なし!」
「ありがとう。ジーさん」
「その調子。さあ、次の客が来たぞ」
「うん、行ってくる」
「新たな妖怪の誕生だ」
緑郎はだんだんと自信をつけていた。しかし、すっかり首を伸ばすことは忘れ、全く違う快楽に溺れ始めていた。
「キャーっ!」
「うへへへ」
「変態よ!」
「ウヒョヒョヒョ」
「全裸男がいるわ!」
「ニャハハハ」
緑郎は全裸だった。ジーさんのアドバイスにしたがって妖怪全裸男となり、人間たちを驚かせていた。お化け屋敷はまさに阿鼻叫喚の状態となり、今までにない盛り上がりであった。
けれども、案の定とも言うべきかクレームが多発し、緑郎はお化け屋敷のアルバイトをクビになった。
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