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「冨美ちゃん、50年後の梅は腰が丸くなりました。昔は胴が伸びていていいなって羨ましがってくれたよね。わたしは反対に冨美ちゃんのスラッとした細い足が羨ましかったよ」
あの頃は背伸びしてどっちが背が伸びたと言い合ってた。胴があるぶん短足だったわたしは必死に爪先立ちしてなにかと冨美ちゃんと競っていたよね。
「冨美ちゃんは未来から来た人なのかななんて思ったときもありました。だって交換テープなんてよくわからないことしようなんて言う人だったから驚いたよ」
片面23分間は長いようで短い。今もテープは伸び続けわたしの声を録音している。
「だけど、冨美ちゃんはもういないんだよね」
ガチャリ
そこでテープは途切れた。
本来なら今年の夏に同窓会で再会できていたはずなのに、2回目のコロナ感染で逝ってしまうなんて誰が想像できただろうか?
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