スパゲッティ現象

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スパゲッティ現象

 そこのあなた、スパゲッティ現象なるものを存じているだろうか。あるいは、ヌードル効果と呼ばれるものであるのだが、それは主にブラックホールと共に現れては、面白そうな響だけを残して消えてゆくのだ。詳細については、ここで語る必要もなければ、各々で調べ上げていただきたい。  ことに私が取り上げたく思うのは、「のびる」ことそのものである。  伸びる、といえば、餅やチーズが想起されるだろう。また、延びる、であれば、時間を指していよう。  では、これら「のびる」の本質とは何ぞであるか。  私にはそれが「つぎ足し」であるように感じられたのだ。  餅やチーズであれば、焼かれて柔くなり、引っ張られることで細く長く伸びてゆく。このときそれらは大なる塊と細き塊に分かれている。されどその間には、必ず混じり合う点がある。大から細へ、緩やかなカーブで持って餅なりチーズなりの供給が行われているのだ。  これが時間であれば、尚の事あてはまるというもので、延期、という言葉は文字通り時間のつぎ足しによる点の移動に他ならない。  このようにして、私は「のびる」の本質とは「つぎ足し」であることの発見に至ったのである。  であればこそ、私は冬季休暇も終わる今夜にて、この掘り炬燵より上体を起き上がらせて、未だ白地の多い課題へと手を伸ばすのだから。
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