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「来てくれてありがとう」
扉を開けた麗はふんわり笑っていて、やっぱりまだ好きだな、と涙が溢れそうになった。
麗の部屋はモノトーンでまとめられていて、あまり物がなくスッキリしている。
ベッドに腰掛けた麗が両手を広げて、おいで、と言う。いつもなら飛びついて麗の足の上に跨っているだろうが、首を振って拒否した。甘やかされたら決心が鈍る。振られに来たんだから。
麗は少し寂しそうな顔をして腕を下ろした。
「リクは上田君と仲良いよね?」
「優弥?ああ、仲良いと思う。話しやすいし一緒にいて楽だし」
「昼、本当にお弁当食べてただけ?距離が近かったから」
俺と優弥ができてるとでも思ってるのか?俺がこんなにも麗に、結婚して、と言い続けているのに。
カチンときて、自分の思いのままにぶちまけた。
「麗はただの教師や幼馴染みなんだろ。俺が誰とどこで何してよーが関係ねーじゃん。俺はずっと麗が好きだったんだ。でも、麗の事好きでいるの疲れた。俺はもう18で成人してる。大人になったらって、ならどうやったら大人になんだよ。俺の事傷付けたくないからそうやってかわし続けてるんだろーけど、その言葉が1番俺を傷付けてんだよ。もういっそ、トドメを刺してくれよ」
麗は立ち上がって、頬を一筋流れた涙を親指で拭ってくれた。そっと触れられて、どんどんこぼれてくる。
そんなに優しく触らないで欲しい。麗の事諦めたいのだから。
「リク、ごめん。そんな風に思ってるって知らなくて。ねぇ、最後にもう一度言って」
トドメを刺す気になったか。俺の初恋、終わるんだな。
大きく息を吐き出して、少し高い位置にある麗の目を見つめる。
「麗、結婚して」
怖い、逃げたい、聞きたくない。本当は今すぐにでも耳を塞いでしまいたい。
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